千葉県市原市南部の里山で、5月14日まで開催中の現代アートの祭典「いちはらアート×ミックス」(以下、アートミックス)のレポート第4回目。

月出エリアの月出工舎(旧月出小学校)から、象のふんを使った粘土の彫刻など地域色の“濃い”作品の数々をお届けします。

月出エリアでは、2014年の前回から、美術家、ディレクターとして岩間賢(さとし)さんが全体をまとめ、今回は9組のアーティストらが参加しています。

内房線の五井駅から小湊鐵道にゆられ、約50分で里見駅に到着。無料周遊バスで約17分の月出自治会館前のバス停まで行き、約5分歩くと月出工舎です。

象のふんを使った「うたつち」

岩間賢さんの作品「うたつち」。風雨ではがれた部分は、今後修繕していくそう

月出工舎全体のディレクションをする岩間賢さんの作品「うたつち」は、うさぎの耳のような形と大小の円錐をつなげた形の、粘土を塗り固めた巨大な彫刻で、水のないプールの中に置かれています。

うさぎの耳のような形は、地の中から種が立ち上がり発芽する直前のようなイメージを、大小の円錐をつなげた形は、天からの雨などが地面に浸透していく感じを表現しています。

この作品の材料は、月出の人たちの協力のもと集めた市原市山小川の動物園「市原ぞうの国」の象のふんや土、ワラを混ぜた粘土で、2014年の前回から3年間かけて、校庭で熟成させたもの。

象のふんを使う理由について岩間さんは、「昔から土壁を作るときは、牛のふんをよく使うんです。草食動物のふんは繊維が豊富なので、糊の代わりになって割れや反りを防ぎます。今回は、せっかく市原で作るのだから、(市原ぞうの国の)象のふんを使うことにした」と説明。軽トラックに約20杯分の象のふんを使ったそうです。

また、この作品のテーマ“月出の暮らしのなかにある先人からの知と技を継承し、月出の山から拾い集めているという「雫」”の「雫」とは、「おじいちゃんやおばあちゃんの昔の話や、学校のこと、月出の思い出や出来事」を指すのだそうです。

2回目の今回は、地域の人との交流が増えたと言う岩間さんの声には、月出の人の愛情に触れた嬉しさがこぼれているようでした。

月出の朗読聞き、手紙をしたためる

高岡友美さんと永森志希乃さんによるユニット「風景と食設計室 ホー」によるインスタレーション

高岡友美さんと永森志希乃さんによるユニット「風景と食設計室 ホー」は、前回の2014年、月出の人々から伝え聞いたことに沿って食事提供する公演をしました。

今回は、月出に手紙をしたためるインスタレーション「月出る処、今と昔 vol.2 〜月出への手紙〜」です。

前回と同様の黒いテーブルクロスをかけた円卓を使い、9人分の皿やフォークなどがセットされ、うち1つは手紙を書く席、それを挟む2つの席は朗読をヘッドホンで聞くことができる席になっています。

朗読を聞く席の一方には、冊子「月出る処、今と昔」が、もう一方には、手紙「月出る処、今と昔(二)〜月出への手紙」が置かれ、どちらも月出の昔からの風習や生活など土地の話が流れています。

また、鑑賞者は、自分が住む土地について思うことを月出に宛てた手紙に書くことで、この作品に参加することができます。手紙を書いたら、窓際に置かれた棚の白い引き出しに入れます。

5月5日、6日にワークショップ「朗読と食事の会」が行われます。いずれも時間は午前12時から午後1時半で、参加費2500円。定員は8人。予約制。

顔や体を白塗りにして踊るパフォーマンス

月出工舎の野外舞台で28日から30日までの3日間、舞踊団トンデ空静による公演「ばけのかわ」が行われます。

舞踊団トンデ空静は、舞踊家の松原東洋さんを中心に、舞踏家、音楽家、美術家など多様な人が集まり、顔や体を白く塗るなどして、全国のさまざまな場所で舞台公演や映像製作をしています。

29日と30日には、和楽器を奏でる謎の集団、切腹ピストルズも特別出演するそうです。公演時間はいずれも午後2時半から4時頃まで。定員200人で予約制。入場無料ですが、おひねり制なので、投げ入れる小銭を用意するといいでしょう。

また、14日から23日にかけて10日間、市原市五井の養老川臨海公園から大多喜町麻綿原の養老川の水源を目指し練り歩く、門付け行脚「ちょぼくれ」が開催されました。

小湊鐵道の上総牛久駅やIAAES(旧里見小学校)など約10か所に立ち寄って、芸を披露し金品を乞う「門付け」をしました。

お腹がすいたらカフェ「ニワコヤ」へ

その日によってメニューが変わるニワコヤの限定ランチ(1000円)

月出工舎には、地域の食材が味わえるカフェ「ニワコヤ」があります。

東京の仙川のギャラリーカフェが改装のため、月出にまるごと引っ越してきました。地元の採れたての野菜をふんだんに使ったやさしい味のランチセットが、1000円で提供されています。

この日は、アジアンチキンライスに、菜の花のオムレツ、春菊のゴマ和えなどにスープが付いていました。コーヒーやジュースなどのドリンクもあります。

6人掛けの相席のテーブルがあり、ひとりで行っても、誰かと一緒に食事ができるかも。屋外のテラス席で食事することもできますよ。

5月5日と6日の営業時間は午後3時から5時。そのほかの日は午前10時から午後5時まで。4月24日から26日、5月8日から10日は休業。

月出工舎の“濃い”作品たちを紹介!

火処の大屋根

火処の大屋根

2014年に美術家のチョウハシトオルによる7つの“かまど”を校庭に設置した作品「火処」に、大屋根ができました。前回は木や竹を使ったメッシュ状のドームの屋根に、白いハンカチのような布を無数に付けた屋根でしたが、今回は、柱を立てた白いテントのような屋根となりました。古くから伝わる料理道具・行為を通し、人間と自然の関係を再考する作品となっています。5月3日、4日の午前11時から午後12時半までワークショップが開かれます。参加費は1500円で、定員は15人。予約制。

たゆたう

たゆたう

染色の作品を制作する岡博美さんの作品「たゆたう」は、工舎の2階の1部屋に展示されています。藍でまだらに染めた布で、卵を縦に割ったバスタブのようなかたちを作り、天井から糸で吊るして浮かせています。この作品は、子どもたちがいた頃の学校の“記憶”をテーマにしているそうです。5月3日から5日の午前10時から正午と午後2時から4時、岡さんによるバッグやガリ版を作るワークショップが開催されます。参加費500円で定員16人。予約制。詳細は公式ホームページで確認できます。

脳内原始旅 vol.2

脳内原始旅 vol.2

メキシコ在住のアーティスト、岡田杏里さんによる作品「脳内原始旅 vol.2」は、工舎1階の入り口を入ってすぐのフロアと、2階の1部屋の2か所に展示されています。人や馬、トーテムポールなどをモチーフとしたカラフルなオブジェや絵画に加え、壁や床に直接描いた絵画や、天井から吊るした作品もあります。1階は約16点、2階には40点以上もの作品が展示され、見ごたえがあります。

つながる波紋

つながる波紋

月出工舎に訪れる人を、最初に迎える場所であろう入り口の階段。ここに作られたモザイクのアートが、鈴村敦夫さんによる「つながる波紋」です。9つの段の前面と上面に、大理石などの天然石を使った石が、水の波紋のように散りばめられ、さまざまな人との出会いと、そこから生まれる新しいエネルギーを表現しています。

閒(あわい)

閒(あわい)

旧月出小学校の改修設計をし、建築デザインなどを手がける塩月洋生さんによる「閒(あわい)」は、月出工舎の入り口に作られた土壁の作品です。岩間さんの「うたつち」に使った粘土と同じもので作られています。壁の中には、木の骨組みと、ブロック状に固めたワラが入っているそうです。

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「アートハウスあそうばらの谷」で展示される作品の一部になるそうです。


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