海は碧く折り重なり、
貨物船がじっと佇む。
不意に釣り竿を刺した自転車が、
防波堤の上をすっと駆け抜けてゆく。

……洋館の窓は、
日常という映画のスクリーンだった。

受け継がれた白亜の洋館。カフェが人をつなぎ、笑顔とともに、海の向こうの世界へ思いを馳せる

『房総カフェⅣ 記憶の履歴書』で裏表紙を飾っていただいている、館山市の「TRAYCLE Market & Coffee」。GW後半、販売していただいている『房総カフェⅢ それぞれの食のシーン』『房総カフェⅣ』『房総のパンⅠ 南房総という生き方』を追加で納めさせていただきました。

カフェは国の有形文化財に指定された白亜の洋館をリノベーションしたもの。2F席からは館山の鏡ヶ浦を望むことができます。日中の風景も素晴らしいですが、東京湾の対岸がシルエットになって浮かび上がる夕暮れ時の眺めもおすすめ。フェアトレードのコーヒーと、南房総の素材を使った手づくりマフィンを味わいながら過ごし、そして風景と自分の感覚がシンクロしてゆく……豊かな時間が、ここにあります。

カフェを営む小高絵理子さん、知識淳悟さんご夫妻や、一級建築士の岸田さんなど、仲間たちの手によって建物は改修されました。大正時代のこの洋館は、小高さんのおじいさんが所有していたもので、かつては銀行や記念館として活用されていました。

2016年12月21日にオープンしたトライクル。建物を単に活用するだけでなく、
「フェアトレードをもっと身近に感じていただける場所にしたい」と小高さんはいいます。

アメリカでの大学時代、各国の友人たちと関わる中で「自分の仕事を、豊かさや平和を均等に分配するための流れの一部にしたい」と強く思うようになった小高さん。「フェアトレードを、単純な国際協力と思われたら広まらないと思うんです。より、コーヒーを飲みたくなるような環境に持っていきたかったんです」。

そうしてひらめいたのが、おじいさんの洋館を活用すること、だったのです。

現在トライクルでは、エシカル(倫理観あふれる)な映画を上映する「トライクルシネマ」など、カフェ空間を使って様々な企画を行なっています。受け継がれた場が人をつなぎ、笑顔とともに、海の向こうの世界へ思いを馳せる。館山に生まれた新たなカフェは、美しい人の心が宿っています。

・・・・・

二杯目のコーヒーを味わいながら、
ただ窓の外を見つめている。
いつの間にか、淡い茜色の空が広がり始めた。

「心配しなくても平穏な明日が来る世界が、当たり前になる日を」   

……小高さんの願いが、暮れゆく海の風景に重なった。

『房総カフェ』『房総のパン』千葉県内お取り扱い店一覧

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暮ラシカルデザイン編集室の沼尻と申します。企画から取材、撮影、執筆、デザイン、販売、流通までを一貫して行い、「房総・千葉県の名刺」となるようなリトルプレス『房総カフェ』『房総のパン』シリーズを発行しています

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