最終戦後のセレモニーでファンへスピーチを行う井口監督=13日、ZOZOマリン

 今まで見たことのない鬼の形相だった。13日。千葉ロッテマリーンズは2018年シーズンの全日程が終了した。59勝81敗3分けの5位。最後は本拠地ZOZOマリンスタジアムで14連敗を喫して終わった。試合終了後、スタンドから大きなため息が漏れた。井口資仁監督は最終戦セレモニー内のスピーチで、どんな時も熱い声援を送ってくれたファンに感謝と謝罪の言葉を続けた。そしてベンチに戻ると全員を選手食堂に集めた。

 「やっぱり悔しいよね」。まず短い言葉を掛けた。しかし、その言葉こそ将の本音だった。誰よりも負けず嫌いで、勝ち負けにこだわる。現役時代に華麗なる成績で成功を収め続けてきた男は今シーズンからマリーンズの指揮を執った。昨年の最下位からの巻き返しを誓っての出発。前半戦は随所にキラリと光るものを見せ、善戦したが7月に入ると歩みはピタリと止まった。7月は7勝10敗3分け。8月に9勝14敗。9月は5勝14敗で10月は2勝9敗。借金は雪だるま式に増えた。開幕から全力疾走を続けたチームは一度、歩みを止めると、もう前に進めなくなった。屈辱の6連敗でのシーズンフィニッシュ。が、結果よりも許せなかったのはその戦う姿勢だった。

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 負けが込み始めるとチームに諦めムードが漂い始めた。試合の中でも疲れが表情に出たり、リードを許すとベンチの雰囲気はイッキに沈む。戦う気持ちの欠如がどうしても許せなかった。タイミングを見定めた。あえて最終戦終了後に全選手に厳しい言葉を投げ掛けた。

 「球場は戦場なんだ! 勝つか負けるか。生きるか死ぬか。そんな気持ちで戦っていた選手がどれほどいた? オレにはそうは見えないことがあった。魂を込めてやってほしい。まず気持ちで負けないでやってほしい」

 これまで優しい兄貴分のイメージで知られる指揮官が初めて全員の前で語気を荒げた。全力プレーと諦めない姿勢はグラウンドに立つ上での最低限の条件だと春季キャンプより言い続けてきた。しかし試合を重ね、勝敗を積み重ねる中でいつの間にか大事なことが置き去りになってしまったのが悔しかった。だから本来の自身のスタイルを変えてでも、しっかりと伝えないといけないと考えた。怒声が飛んだ。

 「結果がすべての世界。来年は全員で向かっていこう。この悔しい想いを来年、みんなでぶつけよう。この結果を真摯(しんし)に受け止めて、秋から死に物狂いでやっていこう。1球1打。もう一歩の守備、走塁。今年、勝負を分けたのはそういうところ。課題を見つめ直してやっていこう」

 最後はいつもの若き指揮官に戻り、静かに語り掛けるように伝えた。ミーティングを終えた選手たちはなかなか席を立つことができなかった。悔しさと不甲斐ない想いをそれぞれが噛みしめているようだった。グラウンドは戦場。その言葉の意味を熟考し、自らを律した。屈辱を胸に巻き返しに挑む2019年のマリーンズはここから始まる。将の言葉はそう予感させる重さがあった。

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 悔しさを重ねたシーズンの中でも光明はあった。チームの総得点は昨年の479から534と大幅にアップした。機動力野球をテーマに掲げ盗塁は78個から124個と飛躍。鈴木大地、中村奨吾、藤岡裕大、田村龍弘の4選手は全試合に出場した。4選手が全試合に出場をするのは球団初のことだ。疲れがたまっても結果が出なくても使い続けた。それは開幕から決めていた信念だった。長期的に考えた場合、若い選手たちが全試合に出場する経験は絶対に未来に生きる。そう信じての起用。想いを貫いた。

 井口マリーンズは屈辱を胸に新シーズンに向かう。悔しさと反省。さまざまな種をまき、糧となり来季に挑む。スタンドから聞こえた無数のため息を歓声に変えるのは結果しかない。グラウンドは戦場。戦に勝利するため。マリーンズはこれから刀を研ぎ澄ませる鍛錬の日々を送る。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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