石垣島キャンプでも妥協なく練習に取り組む

 忘れてはいけないことがある。7月8日のファイターズ戦(札幌D)。二木康太投手は打たれた。初回だけで7失点。二回も打たれ、さらに2失点。結局、3回9失点でマウンドを降りた。惨めな気持ちでベンチに座った。居場所がなかった。チームは3-12で大敗。宿舎に戻ると自室でふさぎ込んだ。

 「つらくて情けなくて…。オレはなにをやっているのだろうと思いました。チームに迷惑をかけてしまった。部屋から一歩も出ることができませんでした」

 夕食を食べていなかったが、ホテルの食事会場に顔を出す気には到底なれなかった。チームメートに合わす顔がない。真っ暗な部屋の中、ずっとベッドの上で大の字になり、天井の一点だけを見つめていた。ふと部屋をノックする音がした。食事会場に姿がなかったため、マスクをかぶった1歳年上の田村龍弘捕手が心配をして訪ねてきた。「誰もが一度は経験をすることだから。ノックアウトされたことのないピッチャーなんていない」。そう言って励ましてくれた。そして、配球のいろいろな反省を一緒にした。

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 翌日、グラウンドではキャプテンの鈴木大地内野手が声を掛けてくれた。「高卒3年でガンガン活躍できるほど甘い世界じゃない。今の自分をしっかり見つめて、また前を向けばいい」。優しく、そう語り掛けてくれた。仲間たちが次から次へと心配をして話し掛けてくれた。助っ人のスタンリッジ投手も自身の若き日の苦い思い出を教えてくれた。「オレなんて、もっとひどかったぜ」。そう言うとウインクをした。「あれはマイナーでのデビュー戦だったと思う。初回に8失点。挙句、相手に死球を当てて、退場さ。どうだ、オレの方がひどいだろ!人生はいいことも悪いこともいろいろあるんだ」。38歳になる大ベテラン投手のアメリカ・マイナー時代の話を聞き入った。最後はお互い笑った。先輩たちの言葉で少しずつ、立ちあがれないほど傷ついていた心が癒され、前向きな気持ちを取り戻していることを感じた。ありがたかった。

 小林雅英投手コーチからは、あえて厳しい言葉が投げ掛けられた。「悔しいか。悔しいならこの気持ちを一生、忘れるな」。そして、助言を受けた。「今日のスポーツ新聞を買ってこい。そして、目立つところに張っておけ」。その指示通り、新聞を探し求めて、購入した。ファイターズは大型連勝中。一面で「爆勝!」の見出しが躍り出ていた。その新聞をボストンバックに入れて帰京。寮に戻ると自室の一番目立つところに張り付けた。

 「今でも張ってあります。毎日、見れるところです。あれを見ると、もっともっと頑張らないといけないと思う」

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 昨年は7勝。前半戦に5勝を挙げながら、後半戦は疲れもたまり、失速した。反省を生かし、シーズンオフは徹底的なスタミナづくりに充てた。今年の石垣島キャンプでも体力強化に取り組む。走り込みを行い、ノックで下半身を強化してきた。

 「すごく練習をして手応えはある。いい方向に来ていると思う。昨年はつらいことがあった。とても惨めな思いをした。二度と同じような思いをしたくない。だから練習をする。自分を追い込んでいくつもり」

 若者は悔しさを糧に成長をする。人は成功ではなく、つらい思い出、悲しい失敗から多くのことを学び、奮い立つ。二木もまた21歳の昨シーズン、苦渋を味わった。もう二度と味わいたくない屈辱。だからこそ今、どんなに疲れていても妥協することなく練習に取り組むことができる。あの日、励ましてくれた先輩、そして叱咤しくれた人たちのために4年目の今季は大きく飛躍した姿を見せるつもりだ。あの日のことは忘れない。それを起点として栄光をつかみとる。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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