77万年前の地磁気逆転を示す地層が、国際標準模式地として「チバニアン」と名付けられる見通しとなった=2015年8月、市原市田淵

 「“地球遺産”が地元に生まれる」「地域の知名度はぐっと上がる」-。77万年前の地磁気逆転を示す市原市田淵の地層について、国立極地研究所が国際学会での1次審査通過を発表した13日、地元関係者は「チバニアン(千葉時代)」が誕生する見通しとなったことに喜びを爆発させ、地域活性化への期待を膨らませた。

 チバニアンを巡っては、「近く結果が出る」と言われ続け、はや数年。関係者が「まだか」と見守る中で訪れた吉報に、希望者向けに現地案内を続けてきた同市の堀内正貫さん(76)は「良かった」と安どの声を漏らした。

 ライバルのイタリアとの争いでは「勝とうが負けようが(同市の地層の)価値は変わりない」という考えだが、チバニアンが正式決定すれば「地域の知名度が上がることは確か」。元高校地学教師としては「地学を学ぶ学生が増えれば」と期待を込める。

 一方、「地元としても喜ばしい」と話すのは、現地への道を整備するなど精力的に活動してきた田淵町会の元町会長、山田博男さん(69)。チバニアン誕生の見通しに地域住民は沸き立ち、「みんな『田淵が全国的に知られる』と喜んでいる」という。

 ただ、今後は来訪者数の大幅な増加が見込まれるため、受け入れ態勢の拡充が急務となる。現状では十分に整備された駐車場やトイレがなく、「このままでは気掛かり」と山田さん。可能な範囲で対策を考えるつもりだが、「県や市にも動いてほしい」と注文する。

 養老川沿いにあり、月崎駅からアクセスできる地層を「パワースポット」として紹介してきた小湊鉄道の石川晋平社長は「地球史に残る“地球遺産”」と喜びの声。現地への案内役として「77万年前と対峙(たいじ)できる“時空旅”を演出していければ」と意気込む。

 市学校教育課の斎藤和則さん(47)らは昨年、地層の成り立ちなどを紹介する小中学生向けDVDを作成。小学6年と中学1年の授業に取り入れている。「教科書に載るかもしれないと思うと非常にうれしい。重要な地層が身近にあるのを誇りに思う子どもも多いだろう。地質学や理科にさらに興味を深めてもらいたい」と声を弾ませた。

◆環境変化はっきり 豊富なデータで差

 地球史に千葉時代を意味する「チバニアン」の名前が刻まれることが、ほぼ確実となった。日本チームが推す市原市の地層は、地球が持つ磁場が77万年前に逆転した変化がはっきりと読み取れるのが最大の特長。評価の重要なポイントとされるこのデータで、ライバルのイタリアの地層に差をつけた。

 地球には磁石の性質があり地磁気と呼ばれる。現在は北極がS極、南極がN極の向きだが、過去360万年間に向きが11回逆転しており、77万年前が最後の逆転とされている。

 市原市の地層の中には、当時の磁場の状態が残った鉱物のほか、地層が堆積した時代や気候を示す微生物の化石・火山灰も多く含まれていた。長い年月をかけて地層が途切れずに積もり続けており、その時代に地磁気の逆転が起きたことをはっきりと読み取れる。イタリアが申請していた2カ所の地層はこのデータが不十分といい、日本チームは「地磁気は文句なし」と自信を見せていた。

 審査を通過する条件には「地層へのアクセスの良さ」や「地層ができた時代の環境の変化が分かる微生物や花粉の化石が豊富」などもあり、イタリアはこれらの条件では有利とみられていたが、日本チームも豊富なデータをそろえた。

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