加茂菜の収穫をする一九会のメンバーら=3月5日、市原市高滝

伝統の味を次世代に-

市原市加茂地区でのみ栽培され、他の場所で育つと色や形状が変化しやすいことから「幻の野菜」と呼ばれる加茂菜の収穫作業が、今年も同地区で終盤を迎えています。“ホンモノ”を後世に残そうと奮闘する市民らを追いました。

一九会

保存活動をする市民団体「一九会」によると、加茂菜は1912年ごろ、関西の旅人から種が伝わったのが始まり。高滝ダムが建造されてからは栽培農家が減って自家消費が中心となっており、危機感を抱いた元教諭や自営業者ら有志約10人が同会を立ち上げました。

地元の直売所で販売したり、学校給食に出すなど、地道な普及活動に努めている同会。会員の一人、奈良輪雄彦さんは「販売時に『幻の野菜』と名付けるなどして、絶滅しそうな加茂菜を広めてきた」と、2007年からの活動を振り返ります。

行政もバックアップ

屋外ではネットで虫から防護し、他の花粉が付かないように気をつけて栽培している=2月28日、市原市農業センター

行政もバックアップしています。

市原市農業センターの青柳里美さんによると、加茂菜はアブラナ科の交配しやすい品種。「幻の野菜」と呼ばれる通り、種が伝わって以来、時間の経過に伴って多くが違う種に変化してしまっている可能性が高いそうです。

同センターでは約5年前から敷地内で加茂菜を栽培。本来の姿を知る年配者の記憶をもとに色や形状を選別し、市民らと一緒に“ホンモノ”の種を残す活動をしています。

“ホンモノ”の加茂菜とは?

“ホンモノ”の特徴を持つ加茂菜(写真左)と、“ヘンテコ”な加茂菜(いずれも市原市農業センター提供)

“ホンモノ”の特徴は葉脈が細い(写真左)、“ヘンテコ”加茂菜は葉脈が太い(いずれも市原市農業センター提供)

では、“ホンモノ”の加茂菜の色・形とは、一体どのようなものなのでしょうか。

同センターによると、本来の加茂菜と思われる品種は、茎はほっそりとして真っすぐに伸び、葉の直径15センチ前後のおたまのような形が特徴。また、葉や茎の色は薄く、葉の葉脈は白く細いとされています。

一方、“ヘンテコ”な加茂菜は、葉色が濃い、株元が太い、茎がまっすぐに伸びずに曲がる、葉の葉脈が太いなどの特徴が挙げられ、特に、茎の部分が赤紫色になっているものは見つけ次第取り除いてしまうそうです。

ただし、“ホンモノ”として選別されている加茂菜の間にも個体差があり、厳密には「加茂菜らしいもの」としか言えないのだとか。幻の野菜は、もう年配者の記憶の中にしか存在しないのかもしれません。

塩漬けが主流

加茂菜の収穫後に一九会が作った加茂菜の塩漬けのまぜご飯=3月5日、市原市クオードの森

地域では、加茂菜の葉の部分を取って茎を塩漬けにしたり、おひたしや味噌汁の具にしたりして食べるのが主流。特に、塩漬けした加茂菜を刻み、ご飯に混ぜるて食べるのが「絶妙においしい!」とか。

市ぐるみで保存活動に取り組んでいる、地域に愛された野菜、加茂菜。奈良輪さんは、「地域が高齢化している問題もあって、このままではなくなってしまう。先代から受け継いだ伝統の味を、次の世代に受け継ぎたい」と最後まで熱く語ってくれました。

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