有村架純さん主演

(C)2016「夏美のホタル」製作委員会

 大多喜町内が舞台の映画「夏美のホタル」の上映が始まった。原作の同名小説は実在する商店をモチーフに執筆されており、映画でも撮影現場になった。店を営んでいた人情派親子も名優が演じ、将来に悩む主人公の女子学生の心を癒やしていく。大多喜の豊かな自然と人の温かみが投影された物語の世界を体験しようと町内のロケ地を巡った。(勝浦支局 廣田和広)

 映画は有村架純さんが主演。写真学校生の主人公、夏美は夢を追うことや彼氏との関係に悩み、父親の形見のバイクで思い出の森へ向かう。立ち寄った商店でヤスばあさん(吉行和子さん)と息子の恵三(光石研さん)に出会い、居候することになる。

実在する商店モチーフ

メイン撮影地の角屋商店=大多喜町筒森

 メインロケ地は筒森にある「角屋商店」(現在は閉店)。国道465号から脇道に入ると正面に現れる。「昨年8月に撮影していました」と町役場の担当者。訪れたのは梅雨の中休みの暑い日。今にもシャッターが開き、ヤスばあさんと恵三さんが出てきそうだ。

 隣には地区の集会場「筒森もみじ館」。夏美と彼氏が乗ったブランコがさみしげに揺れていて、映画が急展開したシーンが思い浮かぶ。1年前と変わらない景観。散策するだけで劇中世界に浸れるスポットになっている。

原作・森沢明夫さんは船橋出身

クライマックスのシーンが撮影された養老川上流の親水広場=大多喜町会所

 原作者の森沢明夫さんは船橋出身。

 以前、取材した際、「16歳からバイクに乗り、房総の自然で遊びまくった」と若い頃を振り返っていた。小説のあとがきには、ツーリング中に「角屋商店」に寄り、親子と交流を深めたエピソードも書かれている。実際、おばあさんは優しく慈しみ深い性格で、息子さんは社交的だったという。森沢さんが執筆の想を得た場所だと思うと、一層感慨深くなる。

 もう一つの撮影地は筒森から約15キロ離れた会所にある親水広場。駐車場から階段を下ると深い木立に囲まれていて、冷涼な空気が心地よい。たおやかに流れる清流は麻綿原高原を源にする養老川の上流域で、透明度は抜群。川底まで見え、無数に泳ぐ小魚の姿が愛らしい。さまざまな葛藤を乗り越え成長した夏美の姿を映すには最高のロケーション。クライマックスにはもってこいの場所だ。

 大多喜の魅力が詰まった映画公開を記念して、「角屋商店」で映画のパネル展が開かれる。25、26日、7月2、3日の土日曜日の午前10時~午後3時で、「筒森もみじ館」が駐車場となる。問い合わせは町総務課{電話}0470(82)2111。

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