見学だけならいつでも、また掘削作業のさわりだけなら誰でも体験可能ですが…

上総掘りの道具製作から実際の掘削作業、井戸メンテナンスまで幅広い活動を続けてきた上総掘り技術伝承研究会。
活動の見学は随時受付、井戸の現場があり掘削している時なら足場に上がってシュモクを握り、井戸孔の底の感触をすぐそこのように手のひらに感じることができます。
しかし上総掘りの技術は、必要な道具や資材を製作・用意し、足場を組み上げ、職人それぞれの経験と技を駆使するところから始まります。
実際の掘削作業以外にも、現場整備はもちろん竹ヒゴやクサビなどの消耗品、完成後に井戸孔内に入れてしまう竹樋などを製作する作業が数多くあって、なかでも地域ごと、職人ごとにもっとも個性が表れるのが足場櫓(やぐら)の建て方です。
何しろ足場建ては、新たな現場で掘り始める時か、丸太が劣化し交換する時だけの希少な体験なのですが、これを一般の方に参加してもらい、1日で完成させるのが、かつて袖ケ浦市郷土博物館で年1回開催されていた、「上総掘り体験学習」です。

職人の知恵と技の集大成、壊しやすい足場櫓

上総掘りの足場櫓は、一つの現場を掘り終われば即座に解体し、次の現場へ運びます。
そのため、最低限の資材と安全性を確保しつつ、解体しやすく建てられます。
釘などはあまり使わずに丸太を組み、引っ張ればすぐほどける荒縄で固定。
組み上げるのに半日、解体は一瞬です。
かつての職人は、井戸を1本掘り上げるのに交代しながら無休で作業を続け、職人1人あたり1日に1間(約180cm)を掘り進められないと、仕事として報酬につり合わないと言われました。
現在、当会は全てのメンバーがボランティアなため週1回の活動となっていて、井戸の掘削にも年単位で時間をかけてしまっていますが、実際の職人たちは毎日休まず連続で掘削するので非常に効率が良く、浅い井戸なら数日~数週間、深い井戸でも数か月で掘り上げては、次の現場に移動を繰り返していたそうです。

当会では袖ケ浦市の小櫃川流域を中心に200本の井戸を無事故で掘り上げた3代目井戸掘り職人、鶴岡正幸先生が代々受け継いだ「鶴岡方式」で足場を建て、道具を製作し、掘削を行っています。
特に足場櫓には地域や職人ごとに個性が出るため、丸太の本数や使い方もそれぞれ違い、独特の形になっています。
鶴岡方式の足場櫓は、周辺の他の職人らのものに比べ、丸太の数が最も少ない16本。
わずかな資材で無駄なく合理的に掘削や現場の移動が可能な、シンプルな形です。

復刻! 上総掘り体験学習2017

この足場櫓を建てるところから、掘り鉄管を使って最初の数十cmを掘るところまでを、1日で体験するイベントがついに今年、復活します。
もともと、会の前身である鶴岡塾発足前から続いていた年に1度の体験学習で、2005年の「第2回上総掘りサミット」以来、実に12年ぶり。
高さ1mの足場板の上に上がって、両手でシュモクを握れる人なら老若男女誰でも参加できます。重い丸太を持ち上げるのは力自慢の男性陣におまかせして、女性の参加も大歓迎です!
現在、会ではこの体験学習の開催に向けた準備に着手しています。

日程やプログラムなど、詳細が決まり次第、この上総掘りチャンネルで告知していきます。
お見逃しなく!!

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週刊ちばにっぽう 2016/09/17-09/23

9月17日〜23日の千葉日報オンライン掲載記事の中から、反響のあった記事、おすすめの記事などをご紹介します。


   千葉日報チャンネル

上総掘りチャンネル

袖ケ浦市郷土博物館に拠点を置き、国指定の重要無形民俗文化財に指定された「上総掘りの技術」の技術保持団体である「上総掘り技術伝承研究会」と、技術保持者である3代目・井戸掘り職人の鶴岡正幸がお送りする、上総掘りのお知らせチャンネルです。
千葉県の上総地方で誕生した伝統的な手掘りの深井戸掘り工法「上総掘り(かずさぼり)」。少人数の人力だけで、重機や電力を使わずに数百mの深さまで井戸を掘ることができるこの技術で、かつて新潟の油田や別府温泉なども掘られました。
現在では水不足に苦しむアジアやアフリカ諸国で、上総掘りの技術を活用した支援や国際交流を行う事例が増えています。
当会でも年に2回、JICAつくばセンターから海外の土木・治水系省庁の職員らを対象に、上総掘りの掘削体験と見学ツアーを受け入れています。
現在、モーレツにメンバー大募集中!
見学やお問い合わせはetofumiya●r8.dion.ne.jpまで。
※●は@(アットマーク)

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