足場丸太を結束するのは、天然素材の荒縄(国産希望!)

荒縄(わら縄、粗縄)とは、わらで作った太い縄のこと。
ホームセンターの園芸用品売り場などで、1巻き1000~1500円くらいで販売されています。
上総掘りの足場櫓(やぐら)は、丸太を荒縄で結束して組み上げます。
荒縄は、かつては農作業に欠かせない身近な結束用具のひとつでしたが、時代とともにナイロン製のロープに取って代わられ、需要減からか価格も上がり、ひと巻きの分量も年々少なくなっています。

何より困るのは近年、国産の荒縄を探すのが難しくなってしまったこと。
手軽に購入できるのは安価な外国産ですが、手ざわりも硬く扱いにくい上に太さにムラがあって、強度も少々心配…できるだけ国産のものを選ぶようにしています。

番線の上から、長さ5尋の2本取りでがっちり結束☆彡

上総掘り技術伝承研究会が学んでいる鶴岡方式では、丸太と丸太を結束する際、主に大人が両手を広げた長さである1尋(ひろ)を5回、つまり5尋を2本取りにし、先端を約10cmずらしておきます。
縄の巻き終わりは、縄を2本に分けて丸太に回し、最後に再び1本に合わせてねじって固定しますが、2本のうちどちらか一方を長めにしておくとバランスよく止められるのです。

足場櫓は本来、掘削が終わり次第、解体して次の現場に運ぶものなので、安定性はもちろんですが解体のしやすさも重要です。
上総掘り技術伝承研究会の現在の現場は、体験用として子どもから大人まで一般の方も足場に上がるため、安全性を最優先して番線(太い針金)で締めた上から荒縄を巻いています。

縄の巻き方は2種類。丸太と丸太が垂直の場合と、斜めに交差している場合とで、いずれもなるべく重ならないよう、丸太に接する面積が少しでも多くして、限られた長さでより確実に丸太を支えながら巻いていきます。
最後はひたすらねじって止めるだけ。天然素材は伸縮性があるので、きっちりねじっておけば緩むこともなく、ねじりを取ればあっと言う間に解けます。
このねじる作業、意外に男性より女性の方が覚えるのが早いです。
子どもの頃から三つ編みやまとめ髪など、ヘアアレンジに馴染みがある女性の方が「ねじって止める」コツが身についているのかもしれません。

職人の知恵と力学の粋がここに…!

丸太と丸太だけではなく、下横丸太の上に乗せた足場板も荒縄で。
掘削作業のメインとなる足場板4枚は、主柱を挟んでしっかりと固定します。

ヒゴグルマの踏み板の両サイドにも、ぐるりと荒縄を一周させます。
20~22尋の長さの荒縄を2本取りで一気に巻きます。

地面の上で、低い部分に縄をかけるのは比較的、力を入れやすいのですが、高所に縄をかける場合は丸太や脚立の上で、不安定な姿勢のまま巻かなければならないので、技術と腕力が求められます。
丸太をかつぎながら、押さえながら、あるいは筋交いなど丸太に「たわみ」をきかせて荒縄をかけることで足場全体の強度が上がるよう、しっかり結束していきます。

今年もミュージアム・フェスティバルに向けて♪

荒縄の掛け替えは、毎年6月に開催される袖ケ浦市郷土博物館のお祭り、ミュージアム・フェスティバルで一般の方を対象とした掘削体験を行う準備として、5月頃に行っています。
朽ちかけた縄を解くと、中からドングリの実が出てくることがあるのですが、これは緑に囲まれた現場周辺に生息するリスなどの小動物が、冬の間の蓄えとして大事に隠したまま、忘れてしまったものと思われます(笑)。

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袖ケ浦市郷土博物館に拠点を置き、国指定の重要無形民俗文化財に指定された「上総掘りの技術」の技術保持団体である「上総掘り技術伝承研究会」と、技術保持者である3代目・井戸掘り職人の鶴岡正幸がお送りする、上総掘りのお知らせチャンネルです。
千葉県の上総地方で誕生した伝統的な手掘りの深井戸掘り工法「上総掘り(かずさぼり)」。少人数の人力だけで、重機や電力を使わずに数百mの深さまで井戸を掘ることができるこの技術で、かつて新潟の油田や別府温泉なども掘られました。
現在では水不足に苦しむアジアやアフリカ諸国で、上総掘りの技術を活用した支援や国際交流を行う事例が増えています。
当会でも年に2回、JICAつくばセンターから海外の土木・治水系省庁の職員らを対象に、上総掘りの掘削体験と見学ツアーを受け入れています。
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