ZOZOマリンスタジアムの室内練習場で打ち込む平沢(右奥)と、それを見守る井口監督(左手前)

 試合後に室内練習場で打ち込みを行うのが平沢大河内野手の日課だ。試合で打った日も打たない日も変わらず続けている。24日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。この日もゲームが終わるとバットを持って室内に向かった。ただ、いつもと違い、まだ気持ちの整理がついていなかった。守備で打球の判断を2度誤り、チームは逆転負けを喫していた。責任を背負い込みながら、打ち込んだ。すると室内練習場に井口資仁監督が姿を現した。珍しいことだった。そして汗を流しながらボールを打っていた平沢の近くに歩み寄った。

 「なんだ、へこんでいるのか?」。開口一番、聞かれた。ストレートな言葉だった。「はい、へこんでいます。すいませんでした」。若者は凛とした表情で強く口にした。少し笑みを浮かべながら指揮官は続けた。「俺も現役時代、数え切れないくらいへこむようなプレーをしたよ。ミスをしてチームが負けたことなんて何度もある。20年以上、野球をやっていたら、そりゃあ何度もある」。直立不動のまま聞いていた平沢の心に指揮官の言葉は染みた。

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 翌25日のバファローズ戦にライトでスタメン起用された。スタメン落ちも覚悟していただけに気合がみなぎった。3安打猛打賞。5-5の同点で迎えた九回には先頭打者として気迫の中前打で出塁するとサヨナラのホームを踏んだ。なによりも守備で意地を見せた。際どい打球に勇猛果敢に挑み、ランニングキャッチをしてチームを救った。守備のミスを守備で取り返すべく燃える姿はベンチで見守る井口監督にはしっかりと届いていた。

 「普段は基本的に試合後の特打とかは見に行かない。選手も嫌だろうからね。でもあの日は平沢がミスをしてどういう表情と態度で練習に取り組んでいるのかを見たいと思った。それに自分が話をすることで少し楽になるかもと思ってね。黙々と打っていたね。いつも話を素直に受け止めて、上手くなろうと貪欲な姿勢を見せてくれている。あの日の試合後も強いものを感じた。いい表情をしていた」

 平沢が失策を犯し敗れた試合後に、あえて室内練習場に足を運び、声を掛けた理由について井口監督はそう答えた。声を掛け、アドバイスをして迎えた翌25日はヒーローとなりお立ち台に導かれた。やられたらやり返す。若者の強い姿勢に目を細めた。

 試合後の練習を終えた時、すでに23時をまわっていた。指揮官は時折打撃指導を交えながら見守り続け、終わると一緒になってボール拾いをしてくれた。普段は現れない監督がこの日、わざわざ姿を現し、声を掛け、見届けてくれたことの意味について若者はしっかりと理解し感謝をしている。だからこそお立ち台では素直な想いを口にした。

 「使ってくれた監督へ感謝しながらプレーをしました。悔しさを晴らそうと必死に頑張りました。フライは必死に捕りにいきました。毎日、練習をしてもっともっと上を目指したい」

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 ヒーローになった夜も室内練習場にこもった。この日は午前中にも室内に足を運び、打ち込んでいた。朝も夜も徹底的に打ち込んだ。それは開幕前からずっと行っている日課である。

 「ずっとやっています。とにかく悔いがないように日々を過ごそうと決めています。ミスをしたから練習をするとか、打ったからやらないではない。まだまだ自分はやることが多い。だから朝も夜も時間をうまく利用して体を動かしていきたい。もっともっと結果を出したいし、期待をしてくれている井口監督の期待に応えたいです」

 室内練習を出ると外はもう真っ暗だった。月の光だけが優しく若者を包み込んでいた。暗闇の中、球場ロッカーへと足を進めた。毎日、歩くこの夜道。悔しい日もあればうれしい日もある。人の優しさや期待に胸がいっぱいになったこともある。そんな日々はこれからもまだまだ続く。背番号「13」の背中をキラキラと光り輝かせるための答えを見つける努力の日々が終わることはない。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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