9月8日の本拠地初登板で1回を三者凡退に抑えた成田=ZOZOマリン

 突然、エースから声を掛けられた。メットライフドームでの試合前練習から1軍に初合流をした成田翔投手は練習後に涌井秀章投手に呼び止められた。「頑張れよ」と励まされた後、思いがけない事を聞かれた。「そういえば、登場曲は決まっているの?」。ホームゲームで投手がマウンドに上がる時には必ずお気に入りの曲が流れる。その数日後の9月8日からホーム・ZOZOマリンスタジアムでの試合が行われることから、出囃子(でばやし)となる曲はその時までに決めておかないといけない。それを聞かれたのだ。

 「正直、全く頭になかったので『まだ、何も決まっていません』と言いました。すると『じゃあ、オレが考えてあげるよ』とおっしゃっていただいた。これまでそれほど会話をさせていただく機会もなかったので、たわいもないことなのですがうれしかったです」

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 その会話の後、成田は必死の毎日で約束の事をすっかり忘れていた。プロ初登板は9月6日のライオンズ戦。?回、無失点で切り抜けた。そして本拠地でのデビューは8日のホークス戦。リリーフカーに乗り、マウンドに向かうと、かすかに曲が聞こえてきた。人気音楽グループのMr.Childrenの「終わりなき旅」だった。本拠地初登板を鼓舞するかのような歌詞に勇気が湧いた。

 「ビジターでの初登板の時はめちゃくちゃ緊張したのですが、不思議とマリンでの初登板の時は落ち着いて投げることができたのです。すごく冷静でした。投げやすかったし、楽しかった」

 2点ビハインドの七回。先頭のデスパイネを高めの直球で二飛。続く松田を変化球で空振り三振を奪い、これがプロ初の奪三振となった。最後は上林を直球で三邪飛に仕留めた。1回を三者凡退で役目を終えベンチに戻る19歳にスタンドからこの日一番の拍手が送られた。

 登板後、涌井もまた若い頃、Mr.Childrenの曲を登場曲に使っていたことを聞かされた。そしてこの曲を選んだ理由として涌井が「かっこいい選手になってほしいため」と後輩への熱い想いを込めて選んでくれたことを知らされ、さらにうれしさがこみ上げてきた。

 「涌井さんが好きな曲と聞いて、ビックリしました。それを自分のために用意してくれた。ありがたいことだと思いました。いつか涌井さんのようにチームを背負えるような投手になりたいと思っています。エースと呼ばれるような存在の選手になりたい。曲にもあるようにこれから苦しいことや迷う事も高い壁もあると思うけど、未来を信じて、もっともっと大きくなれるように頑張っていきたい」

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 そう言って成田はキラキラと目を輝かせた。一度、1軍登録を抹消となるが首脳陣はその能力を高評価。2軍調整の後に1軍での先発の舞台も視野に入れている。同じく高校を卒業後にプロ入りして、球界を代表する投手に上り詰めた大先輩の優しさと期待を胸に、来るべきチャンスの時に備え若き左腕は必死の毎日を過ごす。今はただ前に向かって突き進む時。「新しい何かが待っている」と大先輩は優しくエールを送ってくれている。終わりなき旅は始まったばかり。マリーンズのエース・涌井のような絶対的な存在に近づける日を夢見る日々が始まった。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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