慶應義塾大学の学生とNPOが、上総掘りの技術をアフリカへ!

7月10日、上総掘り技術伝承研究会の総会を開催しました。
午後は、今夏アフリカのコンゴ民主共和国で上総掘りによる井戸掘削を計画している皆さんが来訪。
海外の子どもたちへの奨学金里親制度事業に取り組んできた東京のNPO「あすなろの会」の皆さんと、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス・長谷部葉子研究会「コンゴプロジェクト」の学生が、袖ケ浦市郷土博物館の館内常設展示と、掘削現場で実際の足場を見学しました。

水汲みに追われる子どもたちを学校へ…

慶応義塾大学の長谷部葉子研究会では「教育」と「コミュニケーション」を切り口に、国内外にとらわれず「教育の現場」を社会の縮図として捉え、その現場に必要と思われるもので現在普及・存在していないもの、あるいは仕組みを創る取り組み、つまり「ゼロから1」を創ることを目的としています。
研究会の5つのプロジェクトのうちの1つ、コンゴACADEX小学校プロジェクトの活動の一環として、日本の伝統的な深井戸掘削技術である上総掘りを、コンゴ民主共和国に伝承する「井戸チーム」では、OBの吉田貞之さんの協力で昨年10月から活動を開始。
現在、コンゴ民主共和国では子どもや女性が往復2~3時間かけて水汲みに追われる地域が数多くあります。そうした地域では子どもたちが学校へ行くことができず、女性たちは厳しい肉体労働を強いられています。
そこで「井戸チーム」は、重機や燃料などを必要とせずシンプルな資材と少人数で井戸を掘削できる上総掘りを普及させることで問題解決につなげることを目的としています。
今年8月、吉田さんとプロジェクトメンバーたちが実際にコンゴ民主共和国へ渡航し、現地の人々との協働で井戸掘りに挑戦します。
もちろん帰国後も、現地の人々が自律的・持続的にこの活動を続けていける仕組みづくりを目指しています。

アレンジOK!「美しい仕事」ができているか?

上総掘り技術伝承研究会はこれまで海外で上総掘りによる井戸掘削を計画しているさまざまな団体やプロジェクトにアドバイスや資材の提供など協力を続けてきました。
海外での掘削は、治安や文化の違いなどの他に、日本と同じ資材を揃えるのも難しかったり、地下層についての情報やそれに適した掘削道具を調達しづらかったりと、想定外の問題が起きてきます。
会では、上総掘りの伝統的な掘削技術を伝承していくことを目的に活動を行っていますが、指導者である鶴岡正幸先生は、海外など物資調達が困難な環境で、確実に水を得るための掘削であれば、伝統的な技にこだわらずアレンジを加えたり現代ならではの資材を活用したりすることを推奨しています。
何よりも大切なのは水を得ること。そしてそのための作業が安全であることです。
3代目井戸掘り職人として昭和30年代までに200本の井戸を無事故で掘り上げた鶴岡先生が常に心がけているのは「美しい仕事をすること」。
身近な自然素材から細かい道具のひとつひとつを手作りし、掘削現場の状況次第で臨機応変に作業をすすめる上総掘りでは、あらゆる作業を丁寧に行うことで、自分はもちろん他の作業者が安全かつ効率的に無駄なく掘削することにつながります。
「美しい仕事ができているだろうか」。
プライベートでも、職場でも、そう自問しながら生きていくこと、その大切さを上総掘りの技術が教えてくれています。

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袖ケ浦市郷土博物館に拠点を置き、国指定の重要無形民俗文化財に指定された「上総掘りの技術」の技術保持団体である「上総掘り技術伝承研究会」と、技術保持者である3代目・井戸掘り職人の鶴岡正幸がお送りする、上総掘りのお知らせチャンネルです。
千葉県の上総地方で誕生した伝統的な手掘りの深井戸掘り工法「上総掘り(かずさぼり)」。少人数の人力だけで、重機や電力を使わずに数百mの深さまで井戸を掘ることができるこの技術で、かつて新潟の油田や別府温泉なども掘られました。
現在では水不足に苦しむアジアやアフリカ諸国で、上総掘りの技術を活用した支援や国際交流を行う事例が増えています。
当会でも年に2回、JICAつくばセンターから海外の土木・治水系省庁の職員らを対象に、上総掘りの掘削体験と見学ツアーを受け入れています。
現在、モーレツにメンバー大募集中!
見学やお問い合わせはetofumiya●r8.dion.ne.jpまで。
※●は@(アットマーク)

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