母校の下関国際高校が甲子園初出場を決めた宮崎=ZOZOマリン

 7月28日、2軍での試合を終えた宮崎敦次投手の下にうれしいニュースが飛び込んできた。母校・下関国際高校が甲子園初出場を決めたのだ。

 「本当にうれしい。先輩たちが築いてきたものを後輩たちが受け継いでくれて、監督を甲子園に連れて行ってくれる。感謝の気持ちしかない」

 そう言って恩師の顔を思い浮かべた。一本の電話が人生を変えた。自身が下関国際高校に入学した4月のこと。中学校までは軟式野球の補欠一塁手。だから高校で野球を続けようという意志はまったくなかった。特に部活動に入るという思いすらも湧いてこない。学校の授業を終え、自宅に帰宅すると電話がかかっていた。

 「あの電話がなかったら、今の自分はない。本当に縁というか運命です」

 高校野球部の坂原秀尚監督からだった。当時の野球部は3年生8人、2年生が2人。新入生が入るこの時期に監督は必死に勧誘をしていた。とりあえず、新入生男子で中学までに野球経験のある生徒に、片っ端から電話を入れているとのことだった。その熱心な誘いに心を動かされた宮崎は軽い気持ちでグラウンドへ見学にいった。

 投手をしたことがなかったが、とりあえずブルペンで投げさせられた。「いい球じゃないか!」。その一言に気持ちを乗せられた。入部した同級生はわずか3人。試合に出る機会は多かった。中学時代までは補欠しか経験したことがなかっただけに毎日が楽しかった。

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 1年夏、徳佐高校を11-1で破り、14年ぶりに1回戦を突破したが、2回戦でコールド負けをした。新チームは上級生2人に宮崎の学年が3人。新1年生が入ってくるまでは5人だけで練習を繰り返す。それは部の存続すらも危ぶまれる状況。寂しく、心細いものだった。しかし社会人野球チームにて投手経験を持ち、高校球児の指導に燃える坂原監督は生徒たちを励まし、前を向かせた。「弱者が強者に勝つ。ピンチはチャンス。だから人生は面白いんだ」。それが監督の口癖だった。いつも生徒たちに熱く語りかけた。野球エリートを集めた名門チームとは違い、設備もなければ、野球ボールも数えるくらいで、部員も野球をするのが精いっぱいのチーム。その中でいかに勝つかを考えて練習を繰り返した。投手としての練習も投げ込みというよりは走り込み中心。30キロ以上の土のうを背負ってのスクワットなど地道なトレーニングで下半身を強化していった。監督からは体が小さい事から現ホークス監督の工藤公康氏の現役時代のフォームを参考にするように勧められた。2年夏にベスト8進出。3年夏はベスト16止まりも、1年生の時には120キロしか計測していなかったストレートが3年次には138キロまでアップしていた。

 「本当に自分は高校から野球を始めたようなものです。一から教えてもらった。自分でも毎日、成長しているのが分かった。それはやりがいのあることだった」

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 宮崎が巣立った後、坂原監督の熱意は徐々に実を結び、部員も飛躍的に増えていった。広島国際学院大学に進学した宮崎も、大学リーグの最優秀選手賞を受賞し、スカウトに注目される存在となり、マリーンズに指名された。もちろん一番に報告をしたのは坂原監督だった。「マジか!まさかプロ野球選手が先に出るとはな。次はオレたちが頑張って甲子園初出場をする番だな!」。熱血監督はそう言って喜び、甲子園出場を約束してくれた。あれから3年。本当に約束を果たした。

 プロ入りした時からグラブには「坂原」という文字を刺しゅうで入れている。野球の世界に入れてもらった恩人の事をいつまでも忘れないために。そして、いつも自分にとっての野球の原点を忘れないようにしたいとの思いからだ。

 「監督がおっしゃった言葉は今でも大切にしていますし、今となってよく分かるような気がします。野球エリートでもなく、身長171センチの自分でも勝てる。そういう姿をプロで見せる事によって、子供たちに夢を与える事ができるような存在になりたい。母校の甲子園初出場は刺激になります。負けるわけにはいかない」

 母校は甲子園出場を果たし、恩師は約束を見事に果たしてくれた。次は自分がプロの世界で飛躍した姿を見せる番だ。今季はここまで1軍ではわずか3試合に登板をして防御率4・50。7月23日に1軍登録を抹消された。「弱者が強者に勝つ。だから人生は面白い」。恩師の言葉を胸に、そして後輩の活躍を励みに今は2軍で黙々と汗を流す。努力と準備を重ねチャンス到来を待つ。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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