竹ヒゴ製作やヒゴ継ぎに欠かせない上総掘りの専門刀、「セン」

上総掘りの掘削や道具製作、足場整備などに欠かせない2つの道具について解説します。

まずはセン。漢字で書くと「銑」。桶屋さん下駄職人が使う、両手で握って木材などを削るのに使う道具です。
桶屋さんのセンは、カーブした曲刃でかなり極端な角度がついています。ヨーロッパでも、いわゆる削り馬にまたがって木材を削り出す際、洋銑と呼ばれる似たような工具が使われているようです。
私たちが使っているセンは比較的ストレートな形状。
ホームセンターや金物屋さんにもなかなか売っていないので、鍛冶屋さんに特注したものです。ちなみに約10年前で1万9千円と結構なお値段がついていました。その後すぐに鉄の相場が高騰し、注文すると2万円を超えたと聞いています。ただし、大事に使えば一生モノ。鶴岡先生のお父様の使っていたセンも、今なお現役です。
持ち手(木製の柄)が両側についているので、これをそのまま両手で握って竹を削る動きは容易に予想できますが、上総掘りの職人は竹という長い素材(ヒゴにするなら7m)を扱うため、自分の脚や腹に片方を固定し、もう片方を利き手で握って、削る対象(竹など)の方を左手で動かして削っていきます。
諸刃(もろは)でなく片刃(かたば)なので、表と裏で刀の入り方も違います。
掘削中に竹ヒゴを継ぐ時、作業の合間に真竹を削ってスベルを作る時、職人の道具箱の中にはいつもセンが入っていて、日常的によく使う道具のひとつです。

足場建ての際、番線の結束には欠かせない「シノ」

続いてはポピュラーなようでマニアックな、シノ。
シノは足場丸太を結束する際、番線を締めるのに使います。
語源は篠竹(しのだけ、細く笹のような竹の一種)だとか。
某ウィキペディアによると、「工具として使われる先の尖った鉄の棒。番線による結束や、ボルト穴を合わせたり、配管のフランジ面を割るのに使われる」とのことで、つまり上総掘り以外でもさまざまな建築現場などで普通に使われる道具です。
写真のものはA型と呼ばれる汎用品ですが、他にラチェットレンチなどを兼ねている配管工事用の製品もあります。
私たちが使っているシノは長さ30数㌢、握りの部分はビニール付きで握りやすく加工されていて、作業ズボンのベルト通しなどに引っかけられて便利です。
また先端が微妙にカーブしていることが非常に重要。これがストレートだと、番線に絡めにくいこと必須。
先端が鋭くなっている上、シノを使うのは高所で作業する場合が多いので、作業は下に人がいないことを確認してからが鉄則。万が一、ベルトからスルッと落下させたところに人がいると、頭頂部からきれいに突き刺さってしまいます。人が作業している下には入らない、通らないことを肝に命じましょう。
シノはちょっと品揃えの良いホームセンターなら工具売り場に普通に置いてありますし、千円ちょっとで購入できます。

手入れの行き届いた良き道具は職人仕事の命。
鶴岡先生にならって「美しい仕事」をするため、末永く大切に使っていきたいものです。

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