カラッと晴れた土曜、午前中はまさしく掘削体験日和♪

6月4日。いよいよ始まったミュージアムフェスティバルは地元高校生の吹奏楽演奏がオープニングを飾り、青空のもと賑わう袖ケ浦市郷土博物館を盛り上げます。

家族連れが次々に屋外展示足場を訪れ、歓声を上げながら孔底の感触を確かめていました。
子どもたちもシュモクを握る小さな手に、80m程地下にトントン、と当たる振動を感じて大喜び。

井戸と人生は似ている―――スイコを捕られる非常事態発生

しかし急転直下、まさかの展開が待っていました。
2月に掘り鉄管が井戸孔から抜けなくなり、挽回作業の結果、4月に掘り鉄管の奪還に成功していたのですが、その後の掘削活動でも「危険箇所」と見なした部分は鉄管の動きが悪く、アナケズリという挽回用具を使い続けていたのです。
つまり、はっきり言えば2月13日の「事故」から、挽回しきれていないまま、ミュージアム・フェスティバルを迎えてしまいました。
博物館のおまつりは年に1度、一般の皆さんが気軽に上総掘りの掘削体験を楽しめるチャンスです。可能な限り、1人でも多くの方に上総掘りを身近に感じていただきたい。そんな想いで、通常の掘り鉄管(掘削のスピードを上げるため引っかかりやすいツメが3本装着されている)ではなく、浚渫(井戸孔内の掘り屑を集めるお掃除)用のスイコ(ツメがなくストレートな形状で軽い鉄管)を下ろして、シュモクというハンドルを握って上下することで掘削の感触を味わってもらっていました。
ところが! お昼休みに来訪者が途切れたところで、メンバー休憩を取っている間に、あろうことか引っかかりにくいはずのスイコが動かなくなってしまったのです。

さらに追い打ち―――挽回するための細スイコまで捕られて「サムライ」に

びくとも動かなくなり、地下の井戸孔内で土砂に押さえられてしまったスイコを奪回すべく、つい2カ月前に使った挽回用の竹ヒゴと、これまた挽回用の細いスイコを繋いで、さっそく井戸孔内に降ろしました。
細いスイコの中身は当然容積が小さいので、こまめに掘り屑を吐き出していたのですが…3~4回ほど繰り返すと、細スイコ内に泥が詰まって、弁(コシタ)が開かなくなりました。
どうにか弁を開け、中身を空にして再び井戸孔内に差し込んだところ、なんと細スイコまで動かなくなってしまったのです。
つまり、井戸孔から動かない竹ヒゴが2本出ている状態。
井戸孔の中にはスイコが2本、刺さったままです。
これを上総掘り業界用語で「二本差し」→サムライ、と呼びます。
ミイラ取りがミイラになってしまった悲しい現実。
さすがに3本目を入れるだけの気力も体力も残っておらず、挽回作業は翌日に持ち越しました。

気を取り直して、粘土取り候補地を下見に…レッツゴー長柄町!

この日は、使い果たすのも目前となった粘土を取らせてもらう候補地となる田んぼに、下見に行くことになっていました。
上総掘りは掘り終わるまで樋を入れない素掘りで、掘削時には田んぼなどのネバ(粘土)を溶かしたネバミズ(粘土水)を井戸孔に注ぎ込み、孔壁をコーティングしながら作業を行います。つまり、粘土がとても重要な役割を果たしています。
粘土がよくないと、孔壁が崩れやすい=事故が起こりやすいことになり、掘り屑も上がりにくくなるなど、作業効率がぐんと落ちてしまいます。
兼ねてから質の良い粘土に恵まれず、ネバるどころかサラサラの砂に近い粘土を使って掘削するしかなかったこの現場、これまで崩れにくい層に恵まれていたものの、さすがに限界だったようです。
とはいえ、田んぼの耕地整理などがなければ現役の農地から粘土をゴッソリもらうわけにはいかず、慢性的な粘土不足に悩まされていました。
そこにようやく、提供者が現れたので、鶴岡先生の判断を仰ぐべく下見に出掛けました。
ところは長柄町。一面の田んぼが広がる見事な里山です。
田植え前にイノシシが荒らしてしまい、稲を植えられなかったという休耕田を数十cm掘ると、黒々と固まった粘土が!
近日中に、久々の粘土取りを予定することにし、翌日の挽回作業に備えて解散となりました。

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袖ケ浦市郷土博物館に拠点を置き、国指定の重要無形民俗文化財に指定された「上総掘りの技術」の技術保持団体である「上総掘り技術伝承研究会」と、技術保持者である3代目・井戸掘り職人の鶴岡正幸がお送りする、上総掘りのお知らせチャンネルです。
千葉県の上総地方で誕生した伝統的な手掘りの深井戸掘り工法「上総掘り(かずさぼり)」。少人数の人力だけで、重機や電力を使わずに数百mの深さまで井戸を掘ることができるこの技術で、かつて新潟の油田や別府温泉なども掘られました。
現在では水不足に苦しむアジアやアフリカ諸国で、上総掘りの技術を活用した支援や国際交流を行う事例が増えています。
当会でも年に2回、JICAつくばセンターから海外の土木・治水系省庁の職員らを対象に、上総掘りの掘削体験と見学ツアーを受け入れています。
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