円覚寺を創建した土屋忠直の墓碑を訪ねる

せっかく円覚寺に来たので、本堂の裏手墓地にある五輪の塔を見に行きました。
斜面を上っていくと、途中にカラー(観葉植物)栽培の温室や田んぼがあって、先ほどの井戸から水を引いてあるのがわかります。
程なく寺の墓所が見えてきました。竹林の奥へさらに進むと、突き当たり右側に、見えてきました「土屋家五輪塔 三基」(君津市指定文化財(史跡))。

こんな巨石が、こんな高台に! 3基並んだ土屋家の五輪塔

重機もない江戸時代に、どうやって巨大な石をこんな山の上に運んだのか。
しかも決して座りがいいとは思えないバランスで積み上がった造形美。
五輪塔は仏教で説く物質の構成要素、地・水・火・風・空を象徴しているのだとか。
下から方形、円形、三角形、半円形、宝珠形の部材を積み上げ、それぞれの形の前面に梵字を刻みます。
塔の足元を見れば、ここにも土屋家の家紋が。

君津市教育委員会の看板を引用します。

「君津市小市部九三 円覚寺 昭和六十一年三月三十一日指定」

「土屋氏は、甲斐武田氏の家臣として仕え、天正十年(一五八二)、天目山の戦いで武田勝頼が滅ぼされたとき、土屋昌恒も自刃したと伝えられる。
昌恒の遺児惚蔵(そうぞう)は、駿河の清見寺(せいけんじ)で養育を受けていたところ、天正十六年(一五八八)に鷹狩りに訪れた家康の目にとまり、阿茶局(あちゃのつぼね)のもとで秀忠の近習にとりたてられた。
惚蔵は、のちに秀忠の一字を賜って土屋平八郎忠直と名付けられ、慶長七年(一六〇二)七月二万石を拝領して久留里城主となったが、慶長十七年(一六一二)四月、三十四才で没した。
二代利直は名君の誉れが高く新井白石親子を家臣に抱え、藩士たちに楊枝づくりの内職を奨励するなどして、久留里藩発展のために貢献し、六十九才で逝去した。
三代頼直の代にお家騒動がもとで家禄を没収され、延宝七年(一六七九)八月土屋家は改易となった。
円覚寺は、慶長九(一六〇四)に忠直によって創建された曹洞宗寺院で、寺領五十石を拝領したといわれる。
三基の五輪塔は、いずれも台座からの高さ約三・八mを測り、本市では最大の規模を有している。
向かって左端が忠直のもので、五輪に各々「地水火風空」の文字が刻まれ、地輪の表には「為琴窓静閑居士菩提也時慶安四辛卯年七月九日」とあり、裏には「御落命之年号慶長十七壬子年卯月九日」と記されている。中央は、忠直の正室の墓と思われ、地輪右側面には「源朝臣利直公慈母大施主正覚院殿天室寿青大師信女寿位」、左側面には漢詩が記されている。
また、右端は利直のもので、地輪の表には「為普乾院殿俊林道英大居士菩提也 延宝三乙卯年閏四月廿五日」、裏には「土屋民部将輔利直公御年六十九齢而御落命也」と刻まれている。

平成元年三月三十日 君津市教育委員会」

実際の墓所はこちら

実際の土屋家の墓所は、そこからさらに奥に入った場所にあります。
右側に並ぶ、つるんとした卵型の墓石は、歴代の住職の墓石だそうです。
「無縫塔(むほうとう)」または「卵塔」とも呼ばれるのだとか。
仏教の僧侶の方々はこういう形の墓石なんですね。

久留里の田んぼを潤す現役自噴井戸

雨上がりの田んぼの端を下っていき、続いてはJR久留里駅周辺の田んぼの端で、今も使われている現役の自噴井戸を見学にレッツラゴー!

JR久留里駅をぐるりと回って裏手の田んぼに上がってみました。
そこには、今も現役の農業用水として活躍中の自噴井戸がありました(個人所有)。
そこから流れ出る澄んだ井戸水が田んぼを潤し、緑の水路を流れ去っていきます。
まさしく童謡「春の小川」の世界。

学芸員さんのイチ推し井戸! コロポックルが現れそう♪

所有者の方に許可をいただき、さらに隣の田んぼの畦道を進んでいくと、水ゼリが生い茂る中に丸い切り株のような形状の自噴井戸がありました。

木の蓋を外して中をのぞき込むと水が湧き上がり、砂を噴いている様子がわかります。
これは学芸員Fさんのお気に入りの井戸。
ちょっと佐藤さとるの童話や宮崎駿アニメ風の、小人や妖精が住んでいそうな隠れ家感のある丸い木枠が限りなくアナログで、古き良き時代の農村を体現するかのよう。
この地域の昔の写真を調べると、これと同じように木の桶の底を抜いて伏せたような形で、井戸の枠にしている場所がいくつもあったそうです。
その後、井戸の枠は木製から土管に変わっていき、現在こういった木枠の井戸はほとんど残っていないとか。

朽ちていく美しさ。素朴さが何とも可愛らしい自噴井戸。
ここの井戸には毎年お正月になると、所有者の方が井戸神様のためにきちんとお供えを飾っているのだそうです。

続いては田んぼから降りて、再び久留里街道とJR久留里駅の間の道を進み、街道沿いの飲食店で使われている井戸を訪ねます。

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千葉県の上総地方で誕生した伝統的な手掘りの深井戸掘り工法「上総掘り(かずさぼり)」。少人数の人力だけで、重機や電力を使わずに数百mの深さまで井戸を掘ることができるこの技術で、かつて新潟の油田や別府温泉なども掘られました。
現在では水不足に苦しむアジアやアフリカ諸国で、上総掘りの技術を活用した支援や国際交流を行う事例が増えています。
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