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 躊躇(ちゅうちょ)せずに二塁を陥れた。体重115キロの井上晴哉内野手が石垣島キャンプ第1クールで3日に渡って行われた実戦形式の練習で2度、盗塁に成功した。自分自身で振り返っても高校時代の非公式練習で1度あったかどうか。正しい記憶では中学校が最後という盗塁。走塁革命を掲げる新生井口マリーンズの一員として存在感をアピールするため積極果敢にスタートを切った。

 「セーフになって良かった。走ったのは実戦では本当に記憶がないほど久しぶり。最初から自分は走れないと決めつけるのではなく、チャンスがあれば狙うという貪欲な気持ちをこれからも持っていきたい」

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 キッカケは春季キャンプ前日の1月31日に行われたチームの全体ミーティング。全員で盗塁を増やしていく方針が伝えられた。井口資仁監督からは選手全員で目指す具体的な数値として140盗塁を通達された。昨年はチームで78盗塁。倍近い、目標設定となる。それでも指揮官は「ボクの本音では180盗塁かなと思っている」と言葉を続けた。キャンプには走塁革命の旗手として現役時代に352盗塁を記録した島田誠氏を臨時コーチとして招かれた。監督自身も現役時代に指導を受け、盗塁王を獲得。シンプルかつ的確な指導に定評のある同氏はプロ入り後、盗塁を試みたことがない井上に声を掛けた。「正直、キミの体形だと誰も走るとは思っていないかもしれない。それだけにチャンスだ。警戒も緩い。キミに走る意識があって、けん制がないと分かったなら、自信をもって走ればいい」。チームには足の速い選手はたくさんいる。その中であえて井上に声を掛けた。それは井上自身にとっても驚きであり、刺激的だった。だから興味深く話を聞き入った。

 「年間6個を目標に掲げてみよう。いきなり0個から6個と聞くと難しいかもしれない。しかし月1回と考えればどうだ? 君が6回走ったら、チームは絶対に活気づく。ベンチが盛り上がる。その6盗塁でマリーンズは6勝する。それくらい君の盗塁にはチームに勢いをもたらす価値があると私は思う」

 島田氏は優しく語り掛けてくれた。提案されたシンプルな数字設定に目からうろこが落ちる心地がした。意欲と強い興味が沸いてきた。50メートル走は7秒を切るか切らないか。それでも隙があれば陥れることは可能と熱心に教えてくれた。だから2月2日に行われた実戦で試してみた。誰も予期せぬ行為に捕手は投げることすら出来なかった。滑り込む必要すらなく悠々と二塁を陥れた。

 「よく考えたら年間で自分に牽制が来るのは多くて2回ほど。積極的な姿勢を見せることで相手チームを混乱させることもできるかもしれない。これからも行けると思ったらどんどん次の塁を狙う気持ちを持っていきたい」

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 その激走は、見守っていた指揮官の目にしっかりと留まっていた。「二塁に行こうという気持ちが素晴らしい。彼が年間に1個、2個盗塁をするチームになればチーム全体では10個、20個は増える結果になっているはず」と満足そうな表情を浮かべた。思えば井口監督が現役時代から何度も励まし、気にかけていた存在が井上だった。「1年間通して1軍にいよう。年間通して、頑張ろう」。チーム屈指のパワーを持ちながらも、なかなか1軍定着が出来ずに悩む若者はその言葉に何度も勇気づけられ、奮起した。その大先輩が監督就任をした今季。今年こその1軍定着を自分に誓う。それはただ打つだけではない。守って、そして次の塁を貪欲に狙っての貢献。島田誠臨時走塁コーチから指摘されたようにそのプレーで、チームを鼓舞する活躍を誓う。新生マリーンズは背番号「44」の巨漢が引っ張る。今年こそ飛躍の年とする。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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