履正社高の卒業証書を手に笑顔を見せる安田

 小雪ちらつく旅立ちの日となった。1月27日、ドラフト1位ルーキーの安田尚憲内野手は履正社高校の卒業式に出席をするため大阪にいた。卒業証書を手にすると在校生が校門前で花道を作る中、笑顔を見せながらゆっくりと母校を後にした。思い出の詰まった場所での友や恩師との別れ。しかし期待のルーキーは感傷に浸ることはなかった。終始、笑顔を絶やさず、ただ、ただ前を向いた。

 「寂しさはないです。プロ入りを表明した時から覚悟を決めてやってきていますから。ここでやれることはやった。やり残したことはない。プロの世界でしっかりと一歩ずつ踏み出して、社会人として恥ずかしくないプレーと姿を見せて頑張るだけです」

 凛(りん)とした表情で卒業式を終えたばかりの18歳の若者はキッパリと言い放った。その姿に3年間、指導をしてきた学校関係者はうれしそうな表情を浮かべた。自慢の息子を送り出すように教員が一人、また一人と安田にエールを送り、別れを告げた。

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 野球を磨く前に社会に出て通用する人間になれるように指導をするのが履正社高校の方針。だから野球での指導よりもあいさつなどの礼儀や言葉遣いなどを口酸っぱく言われ続けてきた。3年間、安田の担任を務めた先生は野球部のコーチ。グラウンドでも教室でも徹底的に人間指導をされたのが一番の思い出だ。

 「本当に礼儀や人としての姿勢などを厳しく教えてもらいました。担任の先生には特に徹底的に言われ続けました。3年間で先生から学級レポートの手紙を200回は教室で配られたと思います。そこには誰のなにがよかったとか、ダメだったとか。こんないい言葉があるとか、いろいろ書かれていました。感謝をしていますし忘れてはいけないと思い大切にしています」

 3年間続いた人間力を磨く指導。卒業式の後、クラスに戻ると最後のホームルームが開かれた。「人に感謝。出会いに感謝をしてください。これからも謙虚に、素直にやっていってほしい。そう願っています」。先生からの最後のメッセージが自然と胸の奥深くまで入り込んだ。覚悟を持って挑むプロ野球の世界にあって先生の願いをいつも心にとどめると決めた。

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 プロで結果を出すという強い信念がある。そしてファンが自分自身に求めているものも強く感じている。だからマスコミに目標を聞かれると「ファンの皆さまは自分の長打力に期待をされていると思います。ホームランを打てる選手になりたい。ホームラン王を目指していきたい」と即答する。心はいつも真ん中にあり、右や左にブレることはない。これが履正社高校の指導の下、育てられたマリーンズのスーパールーキーの特徴。そしてプロでの厳しい競争の日々を、これから支えてくれるのはきっと周りの人であり、成長をさせるのは出会いだろう。

 「入学をしたときはプロにいけるなんて思ってもいなかった。周りに支えられて、コツコツと無我夢中で積み重ねてきた結果なのだと思います。高校3年間でやってきたことは間違いではなかったと証明できました。ただ、これからも現状に満足することなく目標や夢をつかむために強い覚悟を持って日々を一歩ずつしっかりと前に進んでいきたいです」

 卒業式の前後も練習は絶やさなかった。高校時代、ウエートでつくり上げてきた体は体重96キロで筋肉量は76キロ。マリーンズ1軍主力クラスよりも優れた体格をすでに手に入れている。いよいよ始まる安田のプロ野球人生。苦しい時、つらい時もあるだろう。そんな時は原点に立ち戻り、謙虚に素直に生きていく。目指すは多くの人に夢や希望を持ってもらえるようなホームランアーチスト。すべては2月1日。石垣島キャンプからスタートする。門出の時。前夜から降り続いていた雪はいつのまにか止んだ。穏やかに晴れた冬の日だった。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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