カフェは文化の花開く場所。例えば、花の都パリのモンマルトルにはかの有名な「LeDôme」というカフェがある。パリが芸術の都として栄えたのは上質なカフェがあったからこそと思う。ぼくの中では、上質なカフェは「まちのえき」なのだ。ひらがなにするのは、町・街・待ちと駅・益・役などの意味を含んでいるからなのだが。

まちのえきでは、毎日楽しいドラマや新しい出会いが生まれてくる。珈琲は主役ではなくBGM。珈琲の醸すアロマや味わいが、人の思考を鎮静させ、脳の働きを明晰にさせる静かな脇役として存在するからだ。語らいが盛り上がるのは、珈琲がゆったりとした心の開放感をもたらすからなのだ。そんな上質なカフェには、談笑を楽しむ人々が現れる。気のいい店主は、常連を楽しませようと、裏メニューなるものを作ってしまったりする。裏メニューには、店主のこだわりがあふれてしまう。今日もそんな裏メニューと粋な店主に出会うために、心のままに放浪に出ようと思う。

「カフェ・えどもんず」の店内 古民家の味わいある落ち着いた雰囲気

記念すべき第一話は、もちろん我が心のふるさと。富津市金谷にある「カフェ・えどもんず」だ。ここは、ぼく自身のまちのえきであり、聖地でもある。JR浜金谷駅から歩くこと2分。国道127号線の海岸沿いにある大きな合掌造りの古民家が「カフェ・えどもんず」だ。

「カフェ・えどもんず」外観 飛騨高山から移築された合掌造りの建物

この合掌造りの建物を初めて見た時、ここでカフェが出来たらどんなに素晴らしいだろうと直感したひとめぼれの物件なのだ。築235年の合掌造りの古民家はその歴史を携えて飛騨高山からこの地へ移築されてきた。一歩踏み入れば、まるで空気感が違う。歴史の重みが漂い、優に樹齢百年を超す柱や梁が作り出す味わいがまさに上質なカフェに不可欠な要素なのだ。

合掌館と書かれた看板の下の玄関を入ったら、目につく所に、希少価値の高いブルーマウンテン珈琲の樽を山積みにしてみたい。奥の囲炉裏部屋は、ヤカンから湯気が休むことなく立ち昇るスペースにしよう。広い廊下は、イタリア製のオールドマシーンをずらりと並べて、珈琲の博物館のようにしたい。光り輝く珈琲道具群や誰もが息をのむ年代物のエスプレッソマシンは入口においてみたい。カウンターは二席だけ、順番待ちが出るような空間を演出しよう。奥座敷は個室にしてくつろいでもらおう。そして大部屋にはコレクションの骨董や美術品を無造作に並べてみたい。

そんな思いのままに「カフェ・えどもんず」が3年半前にスタートしたのだ。

二階の60畳の大広間もコレクションの絵画で埋まってしまったが、上を見上げると見事な合掌造りの屋根裏が235年の歳月を支えて、ギャラリーやライブの空間としておしゃれなホールのようになっている。

左)山積みのブルーマウンテン珈琲の樽
右)裏メニュー?

テレビドラマの影響で、一見の客ながら裏メニューを所望されるお客様もなかなか多く「裏メニューが食べたい~」の注文に、さらなる常連のための裏の裏づくりが昨今の課題なのだが。

番組で紹介した裏メニューは「塩カプチーノ珈琲」「スパークリングエスプレッソ」と「アジフライバーガー」である。「塩カプチーノ珈琲」は、塩がミルクの甘味を引き出して極濃エスプレッソ珈琲とベストマッチ。「スパークリングエスプレッソ」は、炭酸ソーダに柑橘系を混ぜ、そこへエスプレッソを注ぐ。さわやかな逸品なのだ。そして、「アジフライバーガー」は、全国から客が集まり行列のできる金谷の「さすけ食堂」のアジフライを使用。

どれも大人気でほぼ売り切れ必至なのではあるが。

もちろん看板メニューのブルーマウンテンは、農園別に樽ごと仕入れている。ちなみに、樽詰めで輸出される豆は、ブルーマウンテンだけ。他は麻袋だ(エディ辞典)。全世界で希少状態の珈琲の王様ブルーマウンテンの品ぞろえは、日本一なのだ。

さっぱりとフルーティで上品な味は、珈琲の至宝であり、天皇陛下もご愛飲と伺う。新豆、焼きたて、挽きたて、淹れたての4拍子揃った珈琲をフレンチプレスで堪能できるのが、「カフェ・えどもんず」のこだわりなのだ。

なんといっても長時間まったりできる空間づくりに常に気を配っている。

都会では絶対に味わえない贅沢な時の流れを感じるカフェでありたい。懐かしい古民家は、時代を忘れ、気づいたころには前のビーチが黄昏に染まり、東京湾の対岸には、富士山のシルエットがしっかりと映し出されていたりする。そしてこのカフェで最も大切にしているのが、ぼくとの心温かいハグだったり・・・。

ドラマ「ふるカフェ・ハルさんの休日」第一回の舞台となったこのカフェにぜひ足を運んでいただけたらと思う。ドラマがそのままの日常になっているのだ。(www.edomons.netで再放送中)

次回はどんな店主、裏メニューに出会えるのだろう。私自身の心の珈琲道の道を究める旅が始まる。あ~カフェめぐりって最高!

つづく

カフェ情報

店 名 カフェ・えどもんず
場 所 千葉県富津市金谷2185-2 合掌館内
電 話 070-6478-7778

facebookページ:cafeedomons
facebookページ:まちのえき

この記事は、千葉県富津市金谷で営む古民家カフェ「cafe edmonds」のマスターの青山えどもんずが、房総のさまざまなカフェをめぐる放浪記です。
「<第1話>カフェ・えどもんず 極上のブルーマウンテンと至福の時の流れ」は、2015年12月22日の千葉日報に掲載されました。

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千葉県富津市金谷で営む古民家カフェ「cafe edmonds」のマスターの青山えどもんずが、房総のさまざまなカフェをめぐる放浪記です。

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