会の顧問であり名誉会員だった大島暁雄先生が永眠

2016年5月、上総掘り技術伝承研究会設立の立役者でもあり、顧問として名誉会員に名を連ねて下さっていた民俗学者・大島暁雄先生が亡くなりました。

大島先生は栃木県に生まれ、佐倉市の国立歴史民俗博物館に勤務された際に上総掘りの研究に携わり、自身も実際に職人とともに足場に上がるなどして作業の詳細にわたる記録を残しています。
文化庁主任文化財調査官、東京文化財研究所客員研究員を歴任され、主に日本民俗学や民具を専門に研究されていました。
主な著書に『図説民俗探訪事典(1983年、山川出版社)』、『無形民俗文化財の保護-無形文化遺産保護条約にむけて(2007年、岩田書院)』など。

「民俗技術」を学術用語に

以下は「民俗技術」という学術用語についての解説の中で紹介されている大島先生についての記述です。

「民俗技術」を初めて学術用語として提唱したのは、文化財保護法改正当時の文化庁主任文化財調査官の大島暁雄である(大島暁雄 1983 「民具研究の視点-民俗技術論の試み」『日本民俗学』145号)。大島は平成17年度に民俗技術として初めて国の重要無形民俗文化財に指定された3件のうちの1件の「上総掘りの技術」の研究に長年携わるなど(大島暁雄 1986 『上総掘りの民俗 -民俗技術論の課題-』未来社)、民俗技術の研究とこの用語の普及に大きく貢献してきた。(文化財保護法について書かれた福島県文化財センター「まほろん」HP掲載の論文・注釈より)

上総掘りの技術が国の重文指定を受けることになったのも、大島先生の功績あってのことでした。

大島先生の遺したバイブル『上総掘りの民俗』

上総掘り技術伝承研究会では、廃版となっていたこの「上総掘りの民俗」の復活を未来社さんにお願いし、2006年6月にオンデマンド版でよみがえらせました。
上総掘りについての重要なテキストでありバイブルとして、メンバーは現在でも大切に手元に置き、折に触れそのページを繰るのです。

先生のお住まいが遠方だったこと、先生ご自身が体調を崩されていたこともあり、千葉で会の活動に直接参加されることはありませんでしたが、上総掘り界の重鎮であり、なくてはならない人物を失ったことを心から残念に思います。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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袖ケ浦市郷土博物館に拠点を置き、国指定の重要無形民俗文化財に指定された「上総掘りの技術」の技術保持団体である「上総掘り技術伝承研究会」と、技術保持者である3代目・井戸掘り職人の鶴岡正幸がお送りする、上総掘りのお知らせチャンネルです。
千葉県の上総地方で誕生した伝統的な手掘りの深井戸掘り工法「上総掘り(かずさぼり)」。少人数の人力だけで、重機や電力を使わずに数百mの深さまで井戸を掘ることができるこの技術で、かつて新潟の油田や別府温泉なども掘られました。
現在では水不足に苦しむアジアやアフリカ諸国で、上総掘りの技術を活用した支援や国際交流を行う事例が増えています。
当会でも年に2回、JICAつくばセンターから海外の土木・治水系省庁の職員らを対象に、上総掘りの掘削体験と見学ツアーを受け入れています。
現在、モーレツにメンバー大募集中!
見学やお問い合わせはetofumiya●r8.dion.ne.jpまで。
※●は@(アットマーク)

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