18日のソフトバンク戦勝利後、写真に納まる(右から)涌井、谷保さん、中村=ZOZOマリン

 本当に視野の広く優しい男だ。エース・涌井秀章が力投した。18日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)。まだシーズン序盤。公式戦143試合あるうちの1試合ではあったが、ある人にとっては特別な試合だった。ZOZOマリンスタジアム場内アナウンス担当の谷保恵美さん。まだ千葉に移転する前の1991年8月9日のファイターズ戦(川崎球場)から場内アナウンス業務を行い、この試合が1700試合目のメモリアルなゲームとなっていた。

 「きょうはいつもお世話になっている谷保さんの場内アナウンス担当1700試合目の大事な試合だったので勝てて良かったです。おめでとうございます」

 お立ち台に上がったエースは、そう祝福し花を添えた。ヒーローインタビューで選手が、裏方の仕事を祝う。なかなか聞くことのない発言にスタンドのファンからも大きな拍手が湧き起こった。

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 「そういう記事を読んだ。いつもお世話になっている。そういう日に絶対に勝ちたいと思っていた」

 試合後の記者会見で涌井はそう言うと感謝の気持ちを込めて胸をなで下ろした。場内アナウンス担当の声はいつもプロ野球の球場に響くが、その顔を見ることはなかなかない。華やかにみられる反面、体調管理などを含めて厳しい仕事だ。通常は複数人でローテーションを組んで行うがマリーンズでは1人。毎試合、声の状態を保ち、マイクの前に座る。入念な準備と声量維持。私生活で犠牲にしなくてはいけないことは当然、多い。エースはその陰の努力と苦労を知るからこそマウンドで気持ちを込めた。そして白星をプレゼントした。

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「谷保さんへ 1700試合おめでとうございます」とメッセージが入った18日のウイニングボール

 心配りはまだあった。試合後、場内アナウンス室に涌井が同じくヒーローインタビューのお立ち台に上がった中村奨吾内野手を引き連れて現れた。手にはこの日のウイニングボールが握られていた。2人のサインと「谷保さんへ 1700試合おめでとうございます」と書かれたボールをそっと手渡した。裏方を大事にする男ならではの粋な演出だった。

 「ビックリしました。まさか放送室までわざわざ持ってきていただけるなんて思っていませんでした。ウイニングボールをもらうのはもちろん初めてのことでした」

 場内アナウンス担当28年目で初めてもらったウイニングボールを谷保さんは大事そうに自宅に持ち帰った。順調にいけば6月1日の広島戦(ZOZOマリンスタジアム、18時15分試合開始)で谷保さんの場内アナウンス担当試合の連続試合が1500試合に到達する。長きにわたって1試合も休まず、マイクの前で選手の名前を呼び続けていることの証しだ。そんなプロフェッショナルに背番号「16」は敬意を表している。マリーンズのエースと28年目のウグイス嬢によるプロの絆が垣間見えた一日。いつも以上に温かい思いと幸せな雰囲気が勝利のZOZOマリンスタジアムを包んでいた。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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