自己最多の133試合打率2割9分2厘、24本塁打、99打点と4番の責務を果たした井上

 プロの世界では必然的に苦しい事、つらい事、悲しい事と出会う。ただ苦しさに背を向けたら、そこで終わり。目の前の苦しい現実を真正面から受け止めることが出来る人間が生き残る世界。プロ5年目。充実したシーズンを終えた井上晴哉内野手にとって2018年は苦しみと共に歩むことの大切さを知った一年となった。

 「シーズンを終えてみると色々と苦しんで良かったなあと思うようになりました。シーズンの途中、本当に体が思い通りに動かなくてつらい時があったけど、ここが踏ん張りどころだと思っていた。こういうところから変わらないといけないと。弱音を吐くのではなく我慢の積み重ねが必要だと思った」

 井上は結局、今シーズン、自己最多の133試合に出場。打率2割9分2厘、24本塁打、99打点を挙げた。すべてにおいてキャリアハイ。1軍でのチャンスを掴み切るために必死に生きた結果、たどり着いた栄光だった。疲労が蓄積し体が思い通りに動かない時もあった。それでも歯を食いしばり、最後まで最高のパフォーマンスを続けた。そこには強い決意があった。

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 1軍でレギュラーとして試合に出続けるのは初めての経験。最高のパフォーマンスと結果を要求される毎日が続いた。猛暑の真夏はなんとかしのいだが、疲労は残暑と共に訪れる。9月に入ると突如、体の重さを感じた。練習の時から思い通りに体が動かない。頭もボーッとした。いつもは練習の中にも試合に向けたひらめきが起こるものだったがこの時ばかりは、ただ時間だけが過ぎている状態となった。疲労は表情にも出た。ある日の試合前、鳥越裕介ヘッドコーチに呼び止められた。そして言葉を投げかけられた。胸の奥深くまで響く忘れられない一言だった。

 「苦しいか? そうだろうな。ここまで頑張るのは初めてだから。いいんだ、それで。苦しんで苦しめ。そういう経験がこれからの財産になる。今、苦しいと思えていることをありがたいことと思ってプレーをしてみろ。そうするとすべていい方向に行く」

 ハッとさせられた。これまでの井上はここぞというところで踏ん張り切ることが出来なかった。その結果、1軍と2軍を行ったり来たりする毎日。いつも苦しみと真正面から向き合えない自分がいた。スタメンで試合に出続けることが出来ている2018年。シーズンも残り少ない今こそが踏ん張りどころだと思い直した。

 「いつの間にか下を向いていた。自分の性格上、そういうのが表に出てしまうタイプ。それではいけないと思った。ヘッドコーチの言葉は凄く重くて自分にピッタリだった。今、目の前にある苦しみとしっかりと向き合い、打ち勝とうと思いました」

 その結果、4番として誇るべき数字を残した。マリーンズで20本塁打以上は2013年の井口資仁(現監督)以来、実に5年ぶりの快挙となった。打点は惜しくも100打点まであと1打点足りなかったが、4番として申し分のない成績だった。

 「来年は全試合に出場して、99打点で終わったので100打点を超えたい。すべてにおいてまた今年以上の成績を狙っていきたいです。もちろん、来年も苦しいと思います。でもそういう経験が自分を成長させる。そう思って乗り越えます」

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 自己最高の成績を残した井上の2018年は幕を閉じた。ただ成績より得たものがある。それは苦しみから逃げない事。背を向けない事。苦しい事に向かっていく精神の尊さ。人は苦しみを財産に変え、大きくなる。来年もまた苦しい時は来る。その時はまた鳥越ヘッドコーチの教えを思い出し、前に出るつもりだ。その先にこそ本当の栄光が待っている。生涯、忘れることのない想いを手に入れた一年はあっという間に終わった。そして、また新しい一年が始まろうとしている。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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