17日に開かれた出陣式であいさつする伊東監督

 京都でのオープン戦を終え、タクシーに乗り込んだ。キャンプ、オープン戦と順調に進んでいた。指揮官はここまでのチーム状況、今後の戦い方を古都の景色を眺めながら思いを巡らせた。降り際、運転手に声を掛けられた。「監督、頑張ってください。優勝をしてくださいね」。そして、静かにシールを手渡された。四つ葉のクローバーが描かれたシールとカードだった。

 「一瞬、分からなかったけどね。タクシーでシールをもらったのは初めてだったから。なんだろうって、なるよね」

 カードには「幸せを運ぶタクシー。四つ葉のクローバー号」と書かれていた。聞けば、三つ葉のクローバーがシンボルのタクシー会社で、1300台あるその中の4台にだけ四つ葉のクローバー号があると言う。めったにお目にかかれないタクシーということで、乗れたらラッキー。乗った人には「乗車記念カード」がプレゼントされる。そのことが、関西では話題になっているとのことだった。

 「そう言われると、なんだかうれしくなるよね。なにかいいことがありそうな、ワクワクする気持ちになれた。ちょっとした配慮、アイデアで、乗った人を喜ばすことができる。考えた人はすごいと思う。なるほどと思ったね」

 もともとは雨の日に、濡れた葉がタクシーの三つ葉のマークにくっついて、偶然、四つ葉に見え、それに乗ったお客さんが「あれから幸運な出来事が続いているので、ぜひ四つ葉のクローバー号を走らせてください」との要望を受けたことがキッカケで企画されたのがスタート。伊東勤監督もまた偶然にこのタクシーに乗り込み、幸せな気分に包まれながら、千葉へと戻った。

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 本拠地QVCマリンフィールドでオープン戦6試合を戦って、5勝1敗。そのうち、完封勝ちは3回。サヨナラ勝ち1回。確かな手ごたえを感じることができた。なによりも選手たちがそれぞれのポジションで競争意識を持ってプレーをしていることがうれしかった。3月17日に千葉市内のホテルでスポンサー、年間シートオーナーを集めて行われる恒例の出陣式では熱く決意表明をした。

 「キャンプから順調で、戦力も充実しています。去年はCSで良い戦い方をして、結果的に敗れはしましたが、若い選手にとってそれが良い経験となっています。(移籍した)主力選手の穴は簡単には埋まりませんが、若い選手は力をつけてきました。遜色はありません。就任してはや、4年目。勝負の年と思っています。ファンの皆さんの期待に応えるよう、優勝したいと思っています」

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 会場内は大きな拍手で包まれた。式を終えた翌日、試合はなく、練習日となった。その合間、指揮官はスタンドに足を運んだ。2階席の最上段まで昇ると、席に座り込み、グラウンドを見つめた。そこから球場全体を見渡した。その外には東京湾も見えた。海が光っていた。その景色をずっと見続けた。どれくらい時間が経っただろうか。少しばかりして立ち上がった。

 「よし、行くか!開幕はここがファンで満員になる。勝って喜んでもらいたいよね。皆さんに幸せな気持ちになってもらいたい。最近は暗い話題ばかりだから、なんとかマリーンズで明るい話題を提供したい」

 自分に言い聞かせるように口にした。開幕まで1週間を切った。熱き心で挑む伊東マリーンズの4年目がまもなくスタートする。ファンと一緒に幸せを分かち合える日が来ることを誓い、新しい船出をする。そんな思いをこめて、四つ葉のクローバー号のシールは大事に取ってある。携帯ケースの中にソッとしまっている。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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