鋸南町の沖合で

約110年ぶりに国内で発見されたドフライン・イソギンチャク(千葉県教委提供)

 1904年以来、国内で生息が確認されていなかった「ドフライン・イソギンチャク」が、千葉県鋸南町の沖合で約110年ぶりに見つかりました。

 県立中央博物館分館「海の博物館」(勝浦市)の柳研介主任上席研究員(44)らの研究チームが12日、学術誌上で発表しました。外見が似た別のイソギンチャクと混同されていた上、標本の所在が長年分からなかったことから、記録だけが残る“幻のイソギンチャク”となっていました。

 2012年10月、お茶の水女子大学の広瀬慎美子・特任講師が鋸南町の浮島沖で、海洋生物の調査中に発見。イソギンチャクに詳しい柳研究員が確認したところ、ドフライン・イソギンチャクに似ていたことから研究グループを組んで調査を開始しました。

 触手を含めた長さ20センチほどになる形態や筋肉構造を観察し、DNAを解析。毒の入ったカプセル形の「刺胞」の大きさや位置が、これまでに見つかった個体と同じだったことが特定の決め手となりました。

 ドフライン・イソギンチャクは1904年、ドイツ人研究者のフランツ・ドフライン博士が神奈川県の三浦半島沖で採集し、08年に新種として発表しました。

 浅海に生息する「サンゴイソギンチャク」に似ていることから国内では混同され、長年見つかりませんでした。標本は戦前、ドイツ・ミュンヘンの博物館で保管していましたが、第二次世界大戦の爆撃から逃れるため郊外に避難させた際に所在不明となりました。

 博物館は1985年に再建され、資料整理の結果、標本の所在を確認。その後、アメリカ人研究者が生息状況を調査し、2001年にはニューカレドニア、フィリピンなどの深海で再発見したと発表しました。

 19世紀~20世紀初頭にかけて国内で見つかったイソギンチャクは約50種。その後は存在不明となっている種類も多く、柳研究員は「今後も他の“幻のイソギンチャク”の再発見を目指したい」と抱負を語りました。

 標本や研究成果は来年1月11日まで、海の博物館で展示しています。

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