テラス・プサラスは、オーナーの高橋千次・恵美子夫妻の夢の到達点

カフェは文化の花開く場所。例えば、花の都パリのモンマルトルにはかの有名な「Le Dôme」というカフェがある。パリが芸術の都として栄えたのは上質なカフェがあったからこそと思う。ぼくの中では、上質なカフェは「まちのえき」なのだ。ひらがなにするのは、町・街・待ちと駅・益・役などの意味を含んでいるからなのだが。

まちのえきでは、毎日楽しいドラマや新しい出会いが生まれてくる。珈琲は主役ではなくBGM。珈琲の醸すアロマや味わいが、人の思考を鎮静させ、脳の働きを明晰にさせる静かな脇役として存在しているのだ。語らいが盛り上がるのは、珈琲がゆったりとした心の開放感をもたらすからなのだ。今日も粋な店主に出会うために、心のままに放浪に出ようと思う。

 特製ドライカレーは絶品!

新舞子海岸は、懐かしい想い出の場所だ。まだ若い頃、別荘地であることから人もまばらで静かなこの海辺は、傷心のぼくを常に裏切らず、慰めてくれる場所だったのだ。

若い頃のぼくは、もうキスしたら、完全に結婚まで考えるというナイーヴな心をもっていたから、失恋は本当につらいできごとだった。

そんな時、ここに来て、一人で流木を枕に読書したり、拾った貝がらを耳にあてたり、夜の対岸の三浦半島の明かりに思いを馳せたり、落ち着かせてくれる場所だった。浦賀水道を通る船を見ているだけで失恋の痛みや傷を癒し、時の経つのも忘れて希望を抱かせる場所だったのだ。

広々とした店内

「テラス・プサラス」とはギリシャ語で、漁師の集まる場所のことなのだそう。オーナーの高橋千次・恵美子さんご夫妻にお話をうかがった。

ご主人の千次さんは、都内に勤めるサラリーマンで、週末になると東京から戻り、マスター業に変身する。 そもそもの馴れ初めは、サーフィンとヨットが趣味の千次さんと海の大好きな恵美子さんが、六本木で出会い、よく湘南に遊びに行っていたとか。

カフェをオープンされたのは2014年7月。東京の喧騒の中からふらっと抜け出し、気が付いていたらこの場所にいたのだそうだ。わかる!ぼくも失恋して、気付くとこの海岸にいたわけだから。

店は、白木の銘木をふんだんに使ったログハウスで、木目を活かした店内は、南国タヒチのカフェリゾートのような雰囲気なのだ。天井にはしゃれたファンがゆったり回り、テラスから見る浜辺は、まるでゴーギャンの絵のようなのだ。そして、潮風と波の音が極上のBGMになり、時の経つのも忘れさせてくれる。

たそがれ、テラスに向かって光の道が現れる(写真左) 新舞子海岸の宝物で作られたロマンチックなランプシェード(写真右)

カフェの定義として、ぼくはまず、心を解きほぐす場であることが第一条件だと思っている。美味しい珈琲は、アロマが心をリラックスさせ、人を解放に導く。カフェのある場所に文化が花開くのは、そうしたリラックスした状態で、自由な発想が浮かぶからなのだと思う。珈琲を飲みながら人は覚醒してゆくのだ。

ゆっくりとテラス席に落ち着き、珈琲をいただく。BGMは内房の波音と潮の香りだ。珈琲アロマが心を開かせ、BGMが五感を震わせてくれる。

しばし、深い安堵感が訪れる。極上のひとときがぼくを襲う。気がつくとテラスから夕陽が沈む光景が見えた。三浦半島に沈む大きな夕陽は、真っ赤で泣きそうなくらいに切ない。東京湾に、光の道を映し出し、地球がつくる雄大な感動と奇跡のような一瞬がそこにはあった。

想い出をつくるなら、こんな場所がいい。ぼくは失恋でこのビーチをたびたび訪れたが、この夕陽の道で、愛を告白していたなら、そんな失敗もなかったのでは。きっとふたりは、光の道を永遠に歩いていけたのではないかと思った。

デッキでご常連と談笑する恵美子ママ

テラス・プサラス、素晴らしいカフェだと思う。愛を告白するならここ。

合掌館とは趣きは異なるがまたひとつ、極上のロケーションを提供していただけるカフェをこの房総に見つけた。

恵美子さんは、生きるパワースポットとご常連に慕われる存在らしい。気さくで明るい恵美子さんとのお話もとても面白い。

ぼくは、パイプをくゆらせ、若い頃の自分を重ね合わせていた。一日の感謝とそして明日への英気がみるみると湧いてくる夕陽、テラス・プサラスは夢を語るカフェなのだ。

EDOMONS DATA

カテゴリー:カテゴリー: 光の道のカフェ
店  名:テラス・プサラス
住  所:〒293-0056 千葉県富津市八幡159
電  話:0439-27-1955
定休日:不定休
※BBQ台・炭レンタルあり。
(食材飲み物持ち込み可)食材の用意あり。要事前予約。

この記事は、千葉県富津市金谷で営む古民家カフェ「cafe edmonds」のマスターの青山えどもんずが、房総のさまざまなカフェをめぐる放浪記です。
「<第5話>テラス・プサラス 夢を語り、光の道へと旅立つカフェ」は、2016年4月22日の千葉日報に掲載されました。

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