ライトスタンドのファンへ、帽子を取ってあいさつする藤岡裕=ZOZOマリン

 新人にとっては最初の試練が押し寄せる時期かもしれない。開幕から2番遊撃でスタメン出場を続けているドラフト2位ルーキーの藤岡裕大内野手も苦しい毎日が続いている。キャンプから全力でアピールを続けてきた疲労の蓄積。そしてプロの壁。公式戦の日々の中で、もがき苦しみながらも結果を出し続けている。

 「毎日試合がありますし、社会人時代にはなかったような移動の連続もある。いろいろと難しい部分があります」

 今まで感じたことがないような疲労が体を襲う。その中でプロのボールに対応をしようともがく日々。思うような打撃ができない自分と戦いながらもグラウンドではチームの勝利のために貢献し結果を出さなくてはいけない。朝、ベッドから起き上がり栄養ドリンクをグイッと一杯飲みほして自分を奮い立たせてから球場に向かう。

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 イメージ通りに打てない打撃に苦しんでいる。3月30日の開幕戦(イーグルス、ZOZOマリンスタジアム)こそは3安打猛打賞と貢献。自信を深めた。しかし一寸先は闇だった。2カード目に入ると、理想のスイングは突如、あっさりと姿を消した。

 「チャンスで凡退するのは悔しい。ヒットが出ないとモヤモヤしてしまう。朝、また今日もダメかと悪いように考えてしまうこともあった。打席に入るのが不安。社会人時代にはなかった感覚です」

 今までのボールを長く見て打つ感覚をどうしても取り戻せない。引きつけて打つ。それが今までのイメージ。「いい時はピッチャーが遠く感じる。でも今はムチャクチャ近く感じる」と悩んだ。社会人の名門・トヨタ自動車から即戦力として入団したルーキーとはいえ、甘くはないのが1軍の世界。心折れそうになることもあるが、そういう時は物事をシンプルに考え、悩むのをやめようと努力する。

 「うまくいかなくて、心が折れそうになることはありますが心の支えはバントが決まっていること。そしてヒットが出なくても四球を選んで出塁ができていること。派手でなくていい。そういう積み重ねを感じるように意識しています。ポジティブに物事を考えるよう努めるようにしています」

 一日一善。打てないときは守りで貢献する。しっかりとバントを決める。そしてなによりも最低限、ベンチでは大きな声を出して盛り上げる。できることを確実に積み重ねることで自分自身の中で自信をつくっていく作業を繰り返している。

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 光明が少し見えたのは17日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。2試合連続の本塁打となる2ランをライトスタンドに叩き込み、決勝打になった。この日は午前10時から千葉市内の小学校訪問。ハードなスケジュールの中、アピールした。それでもヒーローインタビューを終えるとバットを持って室内練習場に直行した。日付が変わるまでマシン相手にバットを振った。速球に対してコンパクトにセンター返しを繰り返し、感覚を研ぎ澄ませる。それは今も続く藤岡裕のナイターゲームでの日課だ。

 「苦しい時期はまだまだ続くと思います。それでもいい時が必ず来ると信じて、今はやれることをやるだけです」

 若きヒーローは大粒の汗を拭いながら、そう言って少しだけ笑った。起用をする井口資仁監督も、もがきながらも前に進む若者に優しい視線を送る。そして声を掛けるタイミングを考えている。

 「打撃で悩んでいるのは知っている。どこかで声を掛けるよ。『オレの1年目はもっと打てなかった』と言ってあげたいね。打席でも雰囲気があるし、バントも決めてくれている。粘って四球を選んでくれたり、盗塁したりと、しっかりチームに貢献してくれている」

 使い続け、場数を踏ませることで若者は成長をする。指揮官はそれを誰よりも知っているからこそ「将来、必ずマリーンズの核となる選手」と期待をかけるルーキーを信じて起用し続ける。失敗から、つらい経験から成功の糧を見つけてほしいと願っている。

 まもなく4月が終わる。だがシーズンは始まったばかりだ。これからまだまだつらいこともあるだろう。しかし、努力し我慢を続ければその先にはきっとうれしいこともたくさん待っている。真新しいスーツを身にまとい一般社会で、もがく若者たちと同じように背番号「4」もまたプロの世界で必死の日々を送っている。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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