通算100ホールドを達成して記念の花束を受け取り、笑顔を見せる松永=20日、ZOZOマリン

 花束を受け取ると少し照れくさそうな笑顔を見せた。松永昂大投手は20日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)で通算100ホールドを達成した。出番がいつ訪れるか分からないのがセットアッパー。ファンには見えないブルペンでの毎日、準備を整えて出番を待つ。プロ6年間で地道に積み重ねてきた節目にスタンドからは大きな拍手が沸き起こった。

 「それはあくまで数字的な区切りですから。6年間で100ホールド。逆に時間がかかったねと言われるぐらいですよ。ファイターズの宮西(尚生)さん、ジャイアンツの山口(鉄也)さんはもうすぐ300ですからね。それに比べたらまだまだ道の途中です」

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 試合後の松永は涼しげな表情で語った。大台到達の登板はいつもより早く訪れた。6-6で迎えた六回1死満塁。一時は4点リードがあった試合で同点に追いつかれ、迎えた次のイニングだった。バファローズは押せ押せの流れ。この回にイッキに勝ち越しを決めようと意気込んでいた。通常は四回ぐらいにブルペンに向かうが「今日はいつもより早く出番が来るかもしれないと思った」と試合の流れを読み、少し早めに準備を始めていた。予想は的確だった。最大のピンチで打者は4番吉田正尚。今シーズン、この左の強打者相手に1打数無安打の三振で抑えている。この状況で左の自分が投入されると踏んでいた。

 「いつも自分の中でどんな場面で、打者が誰の時に出番が回ってくるのかを予想しながら準備をしている。この時は少し早めに出番が来るかもと考えていた。いろいろなシチュエーションを考えながら肩をつくっていた。心の備えがあった」

 心の準備があったからこそ、太々しい決断を下した。ストレートで押すか、スライダーで攻めるか。2択の中でマウンドに集まっていた捕手と内野陣に問い掛けようと決めた。全会一致でスライダー。試合のここまでの流れをずっと見てきた野手の独特の感覚を信じ投げ込んだ。初球はボール。そして2球目のスライダーを引っ掛けさせた。結果は最高の二ゴロ併殺。ピンチを切り抜けた。相手にあった流れがこの1球をキッカケに大きく変わった。4連敗していたマリーンズが生き返る分水嶺(れい)となった。

 「イメージは三振か内野フライだった。それが結果的に最高の結果になった。ラッキーだった。野手全員がスライダーだと即答していたので間違いないと思っていた」

 この試合、延長十回サヨナラ勝ちで連敗を止めた。そしてチームはそこから3連勝で同一カード3タテ。投じたボールはわずか2球。しかし、とてつもなく大きな仕事をした。

 「中継ぎは大変。そこはやはり知ってもらいたいところ。出番があってもなくても毎試合3、4回は肩をつくる。毎日、試合に合わせて準備を重ねている。正直、肉体的にキツい。それでも普通に投げて普通に抑えるのが当たり前。だからこそブルペン投手全員は誇りを持って仕事をしているし、団結力がある」

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 ブルペンに向かって肩をつくる前から1日は始まっている。松永は早めに球場入りするとバットを持ちブルペンに向かう。約20分間、ティー打撃を行う。これはアマチュア時代からのルーティン。下半身の使い方を確認する上で欠かせない日課だ。その後、走り込み、遠投、ウエートを行い、治療を終えて初めてピッチングを始める。それが開幕からシーズン終了までほぼ同じ流れで地道に続くのだ。それは松永に限らず、ブルペン陣全員が同じ。だからこそ一致団結した力強い絆が生まれる。

 「一番うれしいのは勝った瞬間。みんなの力で勝った時が一番うれしい。個人的な目標は60試合登板ですが、やっぱり優勝がしたい。勝ちたい。それが一番」

 開幕直前にブルペン投手陣で必ず行う儀式がある。それはZOZOマリンスタジアムのブルペンをみんなで掃除すること。1年間お世話になる仕事場を奇麗にして清める。松永も掃除機を手に「今年も1年間お願いします」と口にしながらごみを集めた。

 夏場になり疲労は溜まる。ピンチをしのいではまた訪れる窮地での登板。心が休まることはない。それでも男たちは逃げない。すべてはマリーンズの勝利のために。地道にコツコツと結果を重ねていく。通算100ホールド達成。本人は気にするそぶりを見せないが、それはセットアッパーとして日々の努力を怠らなかった結果として手に入れた勲章である。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

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