答えは「残念ながら3本目挽回のための特殊用具・マワシコミ」でした。

この、鉄棒の先が絵描き歌のアヒルさん状になっているものは一体???
上総掘り技術伝承研究会の掘削活動の中でも、すでに何度かお世話になっている特殊挽回用具、「マワシコミ」です。
ことし6月からこっち、井戸孔の底につかまってしまった2本のスイコを奪回すべく挽回作業を続けていましたが、その作業で用いた「ハダマワシ」という挽回用具をさらに取られてしまう、という結構なピンチに見舞われてしまいました!

12月3日(土)の活動報告より…ピンチはチャンスとか軽々しく言えんっっ!

12月3日(土) 晴れ時々曇り。寒いが外仕事日和。
袖博に9時集合 鶴岡先生はじめ6人のメンバーで、引き続き挽回作業。
朝からブリキの細スイコで穴底の泥を掻き出す作業。10回程、繰り返して相当量の粘土を排出。

続いて、ハダ廻しを下ろすと途中で何度か引っ掛かる感じあり。竹ヒゴにシュモクを取り付け、軽く突きながら下ろしていく。
半分くらい下りたところで、突然シュモクが軽くなり、不信に思い竹ヒゴを巻き上げてみると…なんと井戸孔内での竹ヒゴの継ぎ目が破損(切断)!
つまり切断部分から下の竹ヒゴとハダマワシが、井戸孔の底に残されてしまったのでした。

そこで「マワシコミ」登場! こいつで切れた竹ヒゴを引っかける作戦

とりあえず、竹ヒゴの破損部分を四つ割りで加工し直して、金属製のウワガマ~竹ヒゴを引っかける専用の道具「マワシコミ」を取り付ける。

竹ヒゴは節を残して加工されているため、マワシコミの隙間にうまく竹ヒゴがはまれば、厚みのある節で引っかかり、引き上げることができるという作戦。

この作業に関しては、鶴岡先生も「3本刺さった状態でマワシコミを使ったことはない」と五里霧中。ちなみに、1本だけとられている竹ヒゴを回収した経験はあり。
午後からマワシコミを井戸孔に下ろすが、竹ヒゴがうまく引っかからず、口を少し広げて再度挑戦するも、失敗。
もう1本のマワシコミ(掴み口の舌が長い)を取り付けて下ろし、竹ヒゴを右回転→戻すを繰返す。

あっけなく引っかかってくれた!と思ったら、ちがう竹ヒゴだった…(涙)

なんとほんの数分で手応えあり!
竹ヒゴを引き上げようとしたが、途中で上がらなくなってしまう。
どうやら切れたハダマワシの竹ヒゴ(3本目)ではなく、以前捕られた2本のスイコの竹ヒゴのうち1本(しかも最初に取られた太い方)に掛かった様子。
マワシコミを掛かったヒゴから外そうと試みるが、外れなくなってしまった。
シュモクを取り付け、上から、サイドからゴムハンマーで叩き、ヒゴに衝撃を与え続ける地道な作業を続け、また地上に出ていてテンションを掛けながら固定している2本の竹ヒゴを反対側に寄せ、井戸孔内に空間を増やしたところ、ようやくマワシコミが地上に上がってきた。

マワシコミについては大島暁雄先生の著書『上総掘りの民俗』118ページや、A4テキスト本『上総掘りー伝統的井戸掘り工法ー』45ページで解説されています。
上総掘りの道具は形状も名称も、職人によって多少違いがありますが、マワシコミはヒゴが切れた場合の最もポピュラーな道具だったようです。

水井戸でなく石油井の話ですが、参考までに☆彡

というわけで、サムライ(2本差し)を超越して3本差しになってしまった現場。
石油天然ガスなどの技術開発を職業としているメンバーから、次のような提案もありました。

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