五角形のトンネル

 房総の地質は泥岩が多く比較的容易に掘ることができるので、素掘りのトンネルが多く見られます。

 トンネルによる川廻しは濃溝の滝等で少しずつ知られるようになってきました。これと同様に、谷筋の地域から隣の谷に行くためにはトンネルでつなげば当然便利です。それほど広くない尾根に人力でトンネルが掘れることが、房総に素掘りトンネルが多い一因です。

 養老川上流の山間部に美しい素掘りトンネルがいくつかあります。

 小湊鉄道月崎駅すぐ近くにある、五角形のユニークな入口の永昌寺トンネルもその一つです。1901(明治34)年完成で「観音掘り」と言われる手づくり感満載のトンネルです。これを抜けて林道を進むと他にも素掘りのトンネルを見ることができます。

不思議な2階建て

 また、飯給駅近くの第一と第二の柿木台トンネルも観音掘りの美しいトンネルです。さらに、養老渓谷には珍しい2階建てトンネルがあります。はじめは直線的に掘ってあったのですが、車を通すようになってトンネルの途中から下るように改修し、出口が2階建てになったという話です。

 素掘りのトンネルはどこも内部に掘った跡が残っており、それが何ともいえない美しい模様となっていることが特徴です。その模様が特に美しいのが富津市竹岡の燈籠坂大師のトンネルです。

燈籠坂大師のトンネル

 高さが10メートルもあり、人が通るためだけならこれほど大きく掘ることはないと思いますが、それだけに、掘った跡や傾斜した地層が美しい模様となっています。房州石の切り出し場であった鋸山が近いので、ここでも石の切り出しが行われたのではないかと想像できます。最近ではマスコミにも取り上げられるようになりました。

 最後に、小櫃川上流の二五穴(にごあな)を紹介します。これは人や車用ではなく用水路のトンネルです。幅が二尺(一尺は30・3センチ)、高さが五尺の穴なのでこう呼ばれています。房総丘陵地域は川がすぐ近くを流れていても河床が低く簡単に水をくみ上げることが出来ません。

 そこで耕地にしたい土地より標高が少し高い上流部から水を引く工夫をしたのです。尾根をいくつかの二五穴で抜けて用水路を作ります。長いトンネルは数百メートルもあり、それらをつないで、長い所では10キロも上流から水を引いています。平山用水や蔵玉・折木沢用水などが今でも使われていますが、江戸時代の終わりから明治にかけて作られたものです。

 田植えの始まる前にこのトンネル内を掃除し、水が流れるようにする作業は容易ではありませんが、それだけに先人の米作りにかけた熱意が伝わってきます。房総丘陵の地形や地質とその地に住む人々の巧みな営みなのです。

(秀明大・敬愛大非常勤講師 鎌田正男)

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